中小企業診断士はやめとけと言われるのは本当?資格の価値・活かし方・おすすめな人も紹介!

中小企業の経営に関するアドバイスや支援を行う国家資格です。

しかし、この資格に対しては、「やめとけ」という否定的な意見も多く聞かれます。

本当に中小企業診断士は取得しても役に立たないのでしょうか?

この記事では、中小企業診断士の価値や活かし方、おすすめな人や働き方などを紹介します。中小企業診断士に興味のある方は、ぜひ最後までお読みください。

中小企業診断士が「やめとけ」と言われる理由

まずは中小企業診断士が「やめとけ」と言われる理由を4点に絞ってご紹介します。

  • ・独占業務がないため意味ない
  • ・資格を取っても使えない
  • ・資格だけでは食えない
  • ・資格取得までのハードルが高い

上記の内容をそれぞれ見ていきましょう。

独占業務がないため意味がない

中小企業診断士は、中小企業の経営に関するアドバイスや支援を行う資格ですが、その業務は他の資格や経験者にもできるものです。

例えば、税理士や社会保険労務士などの専門家や、経営コンサルタントや経営者などの実務家も、中小企業の経営に関するサービスを提供できます。

つまり、中小企業診断士にしかできない独占業務がないということです。そのため、中小企業診断士は必要ないという人もいます。

資格を取っても使えない

中小企業診断士は、中小企業の経営者から依頼を受けて仕事をすることが多いですが、その依頼が来るかどうかは自分で営業しなければなりません。

しかし、営業は簡単ではありません。

中小企業の経営者は、自分の会社のことを他人に話したくない人も多く、中小企業診断士に相談することに抵抗感を持つ人もいます。

また、中小企業診断士の知名度や信頼度もまだ低いという現状があります。そのため、資格を取っても仕事が見つからないという人もいるわけです。

資格だけでは食えない

中小企業診断士は、仕事の量や報酬に大きなバラツキがあります。仕事がある時期とない時期がありますし、依頼内容や契約条件によって報酬も変わります。

また、仕事をするためには交通費や宿泊費などの経費もかかります。

そのため、中小企業診断士だけで安定した収入を得ることは難しい人もいます。厚生労働省のページによると、求人の月額平均給料が29万円でした。

参考:jobtag「中小企業診断士」

独立開業した場合は報酬の天井はありませんが、一方で思うような収入を得られないケースも考えられます。

資格取得までのハードルが高い

中小企業診断士は、1次試験と2次試験に合格しなければなりません。

一次試験はマークシート方式で免除科目がなければ7科目受験します。

合格率は20~40%程度です。二次試験は面接方式で4科目の受験で、合格率は20%程度です。最終的な合格率は5%程度であり、難関試験であることが分かります。

また、1度目の受験で最終合格できる受験者は少なく、多くは2年以上かけて受験するケースが多いです。

受験までの勉強時間は800時間や1,000時間とも言われており、十分な勉強時間が取れないことも想定し「やめとけ」と言われることがあるのです。

中小企業診断士は本当に取得しても役に立たない?

中小企業診断士は「やめとけ」と言われる場合がありますが、本当に取得しても役に立たないのでしょうか。ここでは、中小企業診断士の魅力についてご紹介します。

経営に関する幅広い知識が得られる

中小企業診断士は、経営戦略、経営管理、財務会計、経営法務、人事労務など幅広く学習します。

これらの科目は、中小企業の経営に必要な知識やスキルを網羅しています。幅広い知識を身につけることで、中小企業の経営課題を多角的に分析し、効果的な解決策を提案することが可能です。

また、自分自身のキャリアやビジネスにも活かすこともできるでしょう。

経営戦略では、SWOT分析やPEST分析などのツールを使って、自社の強みや弱み、外部環境の機会や脅威を把握し、競争優位性を高める戦略を立案する方法を学びます。

このような知識は、様々な面で活用でき、有利に働きます。

信頼度アップにつながる

中小企業診断士は、国家資格であり、厳しい試験に合格した証でもあります。

そのため、中小企業診断士は、中小企業の経営者や関係者から一定の信頼を得られるわけです。信頼度が高いと、仕事の依頼や紹介が増えることもあるでしょう。

また、仕事の品質や価値も高く評価されやすいです。

就職や転職で役立つ可能性がある

中小企業診断士は、個人事業主として開業するだけでなく、一般企業やコンサルティング会社などに就職や転職することもできます。

中小企業診断士は、中小企業の経営に関する専門知識や実践力を持っていることが証明されるため、就職や転職の際に有利になる可能性があります。

特に、中小企業の経営支援やコンサルティングを行うような企業では、中小企業診断士は必要不可欠な資格です。

年収も高水準

中小企業診断士は、仕事の量や報酬にバラツキがあるというデメリットもありますが、その反面、年収も高水準になる可能性があります。

なかには年収1,000万円を超えるケースもあり、自分の実力を存分に発揮できる職業です。

厚生労働省の統計などをもとにすると、中小企業診断士の年収は780万円ほどです。

参考:jobtag「中小企業診断士」

他の業種よりも年収が高い傾向にあり、頑張りが反映されやすい業界と言えるでしょう。

将来性も十分である

中小企業診断士は、今後も需要が高まる資格です。日本の経済を支える中小企業は約350万社あり、後継者不足に悩無企業も多いです。

参考:中小企業基盤整備機構「日本を支える中小企業」

また 中小企業はデジタル化などの環境変化に対応するために経営改革やイノベーションが必要です 。

これらの課題を解決するためには、中小企業診断士のような専門家の支援が不可欠です。そのため、中小企業診断士は今後も中小企業の経営パートナーとして活躍することができます。

中小企業診断士がおすすめな人の特徴

中小企業診断士は誰もが「やめとけ」と言われて当てはまるケースばかりではありません。おすすめできる人も多く存在します。

中小企業診断士がおすすめな人の特徴を6つ挙げてみましたので、確認してみてください。

経営に携わる仕事をしたい人

中小企業診断士は、中小企業の経営に関するアドバイスや支援を行う資格です。そのため、中小企業診断士を目指す人は、経営に携わる仕事に興味や関心がなければ長続きしません。

経営に携わる仕事とは、例えば、自分で起業することや、他人の会社を支援することなどです。

経営に携わる仕事は、自分のアイデアや判断力が試されるやりがいのある仕事ですが、同時にリスクや責任も大きい仕事です。

そのため、中小企業診断士を目指す人は、経営に対する情熱や挑戦心があることが望ましいです。

本業で昇進したい人

中小企業診断士は、個人事業主として開業するだけでなく、一般企業で働くこともできます。

一般企業で働く場合、中小企業診断士は、自分の会社の経営改善やイノベーションに貢献できます。

中小企業診断士は、難関試験に合格しているため経営に関する幅広い知識やスキルを持っていることが証明されています。

結果として自分の会社で昇進する可能性が高まるわけです。昇進することで、自分の役割や責任が増えますが、同時に自分の能力や価値も高まります。

そのため、中小企業診断士を目指す人は、本業で昇進したいという野心や志向があることが望ましいです。

副業でお金を稼ぎたい人

中小企業診断士は、副業として取り組めます。副業として活動する場合、中小企業診断士は、自分の本業以外の時間や場所で仕事をこなします。

副業の場合は、仕事の内容や報酬を自分で決められるので、必要な報酬を得ることも可能です。

副業でお金を稼ぐことで、自分の収入や生活水準を向上させられるでしょう。また 副業でお金を稼ぐことで 自分の本業に対するストレスや不満を軽減させることもできます 。

そのため 中小企業診断士を目指す人は 副業でお金を稼ぎたいという欲求や目標が必要でしょう。

コミュニケーション能力がある人

中小企業診断士は、中小企業の経営者や関係者とコミュニケーションを取ることが多いです。

そのため、中小企業診断士を目指す人には、コミュニケーション能力が求められます。

コミュニケーション能力とは、例えば、相手の話を聞くことや理解すること、自分の考えや提案を伝えることなどが挙げられます。

さらには、相手を説得すること、信頼関係を築くこともコミュニケーション能力に含まれます。

コミュニケーション能力があれば、仕事の依頼や紹介が増える可能性が高いです。仕事の品質や効率も向上することもあるでしょう。

多面的なアプローチができる人

中小企業診断士は、中小企業の経営課題を多角的に分析し、効果的な解決策を提案しなければなりません。

そのため、中小企業診断士を目指す人は、多面的なアプローチが求められます。

多面的なアプローチとは、論理的に考えることや創造的に考えることなどです。

また、定量的な分析、定性的な分析、戦略的な計画、実践的に実行することもふくまれます。多面的なアプローチができれば、仕事の幅やチャンスが増えるでしょう。仕事の成果や満足度も高まります。

経営者と仲良くなりたい人

中小企業診断士は、中小企業の経営者と仲良くなれます。よって、中小企業診断士を目指す人は、経営者と仲良くなりたいという気持ちがあると有利です。

経営者と仲良くなれば、仕事の依頼や紹介が増えるだけでな、 経営者から学ぶことで刺激を受けます。

また 経営者と仲良くなれば、自分の人脈やネットワークも広がるでしょう。

そのため、中小企業診断士を目指す人は経営者に対する尊敬や好奇心、友情や信頼などの感情を持っている人が向いています。

中小企業診断士をおすすめできない人

中小企業診断士をおすすめできない人もいます。

  • ・試験勉強が苦手な人
  • ・自分から仕事をしたり営業したりするのが苦手な人、嫌いな人
  • ・1つの分野に特化したい人

上記は一例ですが、該当する場合は、中小企業診断士が向いていない可能性があります。

中小企業診断士になるためには勉強を継続しなければならず、取得後も仕事を獲得するために能動的に活動する必要があります。

また、中小企業診断士は経営に関して幅広し視点からアプローチしなければならず、何か一つだけに特化したい場合は業務に適応できない可能性もあるでしょう。

中小企業診断士と言う仕事の特徴を踏まえたうえで目指すかどうか考えてください。

中小企業診断士の働き方

中小企業診断士の働き方は、大きく分けて以下の5つがあります。

  • ・個人事業主として開業
  • ・一般企業で企業内診断士として働く
  • ・コンサルティング会社に就職・転職
  • ・中小企業支援機関
  • ・会計事務所や税理士事務所

ではそれぞれの特徴をみていきましょう。

個人事業主として開業

中小企業診断士の魅力の一つが、自分で事務所を構えて独立することです。

独立診断士は、自分の得意分野や専門性に応じて、中小企業にコンサルティングサービスを提供します。収入も頑張り次第で大幅に増えるでしょう。

一般企業で企業内診断士として働く

中小企業診断士の合格後は、多くの人が、自分の会社で経営改善などに貢献します。

業内診断士として働く場合は、自社やグループ内各部署や関連会社のコンサルティングや、新規事業開発、上場準備などが主な仕事です。

企業内診断士として活躍することで、昇進や昇給のチャンスも高まります。

コンサルティング会社に就職・転職

中小企業診断士は、コンサルティング会社に就職・転職することもできます。

コンサルティング会社で働く場合は、中小企業だけでなく大企業や公的機関など幅広いクライアントに対してコンサルティングを行います。コンサルティング会社で働くことで、経営に関する幅広い知識やスキルを身につけられるでしょう。

中小企業支援機関

中小企業診断士は、中小機構や中小企業振興センター、商工会議所などの中小企業支援機関で働くことも可能です。

支援機関で働く場合は、窓口相談業務や診断業務、セミナーの講師などが主な仕事です。支援機関で働くことで、国策である中小企業支援に貢献することができます

会計事務所や税理士事務所

中小企業診断士は、会計事務所や税理士事務所などの他の士業と連携して働くこともできます。

会計事務所や税理士事務所で働く場合は、経理や税務だけでなく経営全般に関するアドバイスや支援を行います。

会計事務所や税理士事務所で働くことで、他の士業とのネットワークや協力関係を築けるでしょう。

噂に惑わされずに中小企業診断士を目指そう

中小企業診断士は、「やめとけ」と言われる理由もありますが、それ以上に魅力的な資格です。

経営に関する幅広い知識やスキルが身につき、信頼度や収入も高まります。また、多様な働き方ができるので、自分のライフスタイルに合わせて活動することが可能です。

中小企業診断士は、経営に携わる仕事をしたい人や本業で昇進したい人、副業でお金を稼ぎたい人などにおすすめです。噂に惑わされずに、ぜひ中小企業診断士を目指してみてください。