中小企業診断士試験に挑戦する方必見!試験の概要から科目免除・科目合格制度まで完全ガイド!

中小企業診断士は、中小企業の経営に関する幅広い知識と実務経験を有する国家資格です。しかし、その試験は難易度が高く合格率も低いため、受験には多くの時間と努力が必要です。

そこで、この記事では、試験の概要や科目別の出題範囲、免除や合格制度など、試験に関する基本的な情報をわかりやすく解説します。この記事を読めば、中小企業診断士試験について理解が深められます。ぜひ最後までお読みください。

中小企業診断士とは

中小企業診断士とは、中小企業の経営に関する専門家としての資格です。まずは中小企業診断士の仕事内容や活躍できる分野、需要を解説します。

仕事内容

中小企業診断士の仕事は、経営コンサルティング、経営改善書・経営診断書の作成、専門知識の発信、公的機関からの依頼などがあります。

例えば、顧問先や取引先である中小企業の経営問題を分析し改善策や経営計画を提案したり必要な書類を作成したりします。また、セミナーや講演、出版物やSNSなどで経営に関する知識や情報発信、中小企業支援事業への協力も仕事のひとつです。

活躍できる分野や需要

中小企業診断士は、経営コンサルタントとして独立開業、またはコンサルティング会社に就職によっ手活動します。

また、会計事務所や税理士事務所と連携し自分のスキルや能力を提供できます。ほかにも自身が所属する企業の経営戦略や事業開発に携わることも可能です。

中小企業は国内外に多く存在し、感染症やデジタル化などの変化に対応するために専門的な支援が必要です。そのため、中小企業診断士の需要は高いと言えます。

中小企業診断士試験の概要

ここからは中小企業診断士試験の概要をさまざまな項目からご紹介します。学習計画や受験申し込みなどに活かしてください。

日程や会場

中小企業診断士試験は、毎年8月に第1次試験、10月に第2次試験が実施されます。試験会場は全国10地区に分かれています。

第1次試験は7科目の筆記試験が実施され、第2次試験は実務の事例についての筆記試験と口述試験です。会場は札幌、仙台、東京、名古屋、金沢、大阪、広島、四国、福岡、那覇の各地区となっています。

試験科目

中小企業診断士試験は第1次試験と第2次試験の2段階で行なわれます。第1次試験は7科目のマークシート方式の筆記試験、第2次試験は4科目の短答式又は論文式の筆記試験と口述試験です。

第1次試験 第2次試験
経済学・経済政策 事例1:組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
財務・会計 事例2:マーケティング、流通を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
企業経営理論 事例3:生産、技術を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
運営管理(オペレーション・マネジメント) 事例4:財務、会計を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
経営法務 口述試験
経営情報システム
中小企業経営・中小企業政策

上表のように、中小企業診断士試験は幅広い内容が出題されます。

受験資格と申込方法

中小企業診断士試験の受験資格は年齢、性別、学歴等に関係なく受験できます。申込方法は一般社団法人 中小企業診断協会が交付する受験申込書に必要事項を記入し、受付期間内に受験手数料を郵便振替で払い込む流れです。

郵送で受験申込書を取り寄せる場合は、一般社団法人 中小企業診断協会に返信用封筒などを用意して最寄りの協会に請求してください。

受験料

中小企業診断士試験の受験料は第1次試験が14,500円、第2次試験が17,800円です。令和4年度から受験料が改定され、以前よりも割高になりました。

難易度や合格率

中小企業診断士試験は難易度が高く、合格率も低いです。特に第2次試験は実務の事例について筆記試験と口述試験を行うため、高度な知識とスキルが求められます。

一般社団法人 中小企業診断協会が公開している各年度の合格率を見ると、1次試験、2次試験ともに20%程度です。

参考:一般社団法人 中小企業診断協会「中小企業診断士試験 申込者数・合格率等の推移 」

中小企業診断士試験は1次試験に合格しないと2次試験に進めないため、全体的な合格率は低いと言えます。

免除科目と科目合格制度

中小企業診断士試験では、第1次試験の一部の科目について、特定の資格や学歴を有する者に対して免除が認められる場合があります。例えば、公認会計士や弁護士、税理士などは「財務・会計」の受験が免除されます。情報処理技術者試験合格者であれば「経営情報システム」の科目受験が免除されます。

また、1次試験の各科目において60%以上の正答率があれば、以降2年間の1次試験でその科目の受験が免除される制度もあります。これが科目合格制度です。

有資格者などにおける受験免除や科目合格制度は、申請が必要ですので、受験時に確認しておきましょう。

参考:一般社団法人 中小企業診断協会「中小企業診断士第1次試験他資格等保有による科目免除」

参考:一般社団法人 中小企業診断協会「第1次試験科目合格パターン例」

中小企業診断士になるメリット・デメリット

資格試験でも難関の中小企業診断士ですが、メリットやデメリットがあります。メリットとデメリットをそれぞれ解説します。

中小企業診断士になるメリット

まずは中小企業診断士になるメリットを4点ご紹介します。

経営コンサルティングの信頼性が高まる

中小企業診断士は、中小企業庁が認定する国家資格であり、中小企業の経営に関する幅広い知識と実務経験を有していることが認められています。そのため、中小企業の経営者や関係者からの信頼や評価が高まります。

また、中小企業診断協会や地域の商工会議所などの公的機関との連携も強化され、対外的な信頼性を高めることが可能です。

幅広い経営知識を身につける

中小企業診断士の試験は、経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策の7科目の第1次試験と、4つの事例問題と口述試験からなる第2次試験で構成されています。

これらの科目は、中小企業の経営に必要な基礎的な知識から応用的な知識までを網羅しており、受験勉強を通じて幅広い経営知識を身につけられます。

年収アップの可能性がある

中小企業診断士は、会社員としても独立しても活躍できます。会社員としては、資格手当や昇進のチャンスが増えたり、副業や講師として収入を得たりすることができます。

独立しても、補助金申請や事業計画作成などのコンサルティングやセミナー講師などの仕事を受注るでしょう。いずれのケースでも年収アップにつなげることが可能です。

独立・起業に有利な資格である

中小企業診断士は、自分自身のビジネスを始める際にも有利な資格です。自分の専門分野や得意分野を活かしてサービスや商品を提供することができますし、自分のビジネスプランや財務計画を作成する際にも役立ちます。

また、中小企業診断士のネットワークや公的機関からの支援も受けやすいです。

中小企業診断士になるデメリット

中小企業診断士になってもデメリットがあります。あらかじめデメリットを確認し、対策を考えておきましょう。

独占業務がないためライバルが多い

中小企業診断士は、中小企業の経営に関するコンサルティングや指導を行うことができますが、これらの業務は中小企業診断士に限定されていません。

場合よっては弁護士や公認会計士なども同様の役割を担い、企業と取引している場合があります。そのため、他のコンサルタントや専門家との競争が激しくなるわけです。

更新手続きや更新費用が必要である

中小企業診断士は、登録後も一定の条件を満たす必要があります。資格を有効にするためには、定期的に研修を受けたり費用を支払ったりして、条件を満たさなければなりません。

一度、資格を取得すれば中小企業診断士を名乗り続けられるわけではないのは、自分自身の負担ともいえるでしょう。

仕事を得るのが難しい場合がある

中小企業診断士は、自分で仕事を探したり受注したりする必要があります。そのため、自分の専門分野や得意分野をアピールしたり、自分のネットワークや実績を広げたりする努力が必要です。

また、中小企業の経営者や関係者からのニーズや期待に応えられるかどうかも重要です。常に時代の変化なども常にキャッチして、最新の情報をもとに中小企業へアドバイスする必要があります。 

時間とお金を投資する必要がある

中小企業診断士の試験は難易度が高く合格率も低いため、試験に合格するまでに多くの時間とお金を投資する必要があります。試験勉強には数年かかる場合もありますし、受験料や教材費用もかかります。

試験に合格した後も、登録費用や更新費用や研修費用などがかかるため、何かと負担が多いものです。その時点で志すことを諦めるケースもあるため、未来をイメージしながら受験勉強に取り組む必要があります。

中小企業診断士になった後のキャリア

中小企業診断士になった後のキャリアは、独立してプロコンサルタントとして活動するか、企業内診断士として経営陣や部署のマネジメントを行うか、公的機関や教育機関で経営に関する知識や情報を発信するか、の3つのパターンが主流です。

独立する際は自分の得意分野を活かして活動できます。また、企業内診断士として働く場合は、経営に関係する部署で働くことも可能です。商工会などの公的機関でも活躍の場が広がります。

まとめ

中小企業診断士は、幅広い試験科目があり、さまざまな知識が試されます。合格後も資格を有効にするには、定期的に更新する必要があります。資格取得後のキャリアパスも考慮しつつ、中小企業診断士の試験に挑戦しましょう。

参考

https://www.tac-school.co.jp/kouza_chusho/chusho_sk_idx/chusho_shiken_guide.html

https://www.agaroot.jp/shindanshi/column/application/

https://studying.jp/shindanshi/about-more/application-forms.html