中小企業診断士の試験科目は?受験資格や対策まで徹底攻略

これから中小企業診断士試験の受験を目指す場合は、出題される科目とその内容を正しく把握する必要があります。出題科目などを把握しないと、適切な学習計画を立てられないからです。

この記事では中小企業診断士試験の試験科目や受験資格などを解説します。これから中小企業診断士試験に挑戦する場合は、ぜひ最後までご覧ください。

中小企業診断士試験の概要と受験資格

まずは中小企業診断士試験の概要と受験資格をご紹介します。また、中小企業診断士試験は科目免除制度もありますので、併せてご確認ください。

試験概要

中小企業診断士試験は、中小企業の経営やコンサルティングに関する知識と応用能力を問う国家資格の試験です。また、試験は第1次試験(多肢選択式の筆記試験)と第2次試験(筆記試験と口述試験)の2段階で行われます。

受験資格

第1次試験については、年齢や学歴などに制限はなく、誰でも受験できます。第2次試験については、第1次試験に合格した者や他の国家試験の合格者などが受験できます。また、特定の事情により第2次試験を受験できなかった者に対しては、期間延長の申請が認められる場合があります。(例:コロナ禍での受験自粛など)

科目免除制度と対象者

科目免除制度とは、第1次試験の一部の科目に合格した者が、翌年度以降もその科目を受ける必要がなくなる制度です。具体的には、1次試験の受験科目において60%以上の得点をとれば、しんせいすることで翌年と翌々年にその科目の受験が免除されます。

また、弁護士や税理士などの有資格者は1次試験で受験が免除される科目があります。

参考:一般社団法人 中小企業診断協会「中小企業診断士第1次試験他資格等保有による科目免除」

1次試験に合格するには基本から応用までしっかり理解する

ここからは、中小企業診断士試験の一次試験に合格するためのポイントを解説します。1次試験に合格するには、基本から応用までしっかり学習することが大事です。試験科目や出題範囲もご紹介しますので、確認していきましょう。

1次試験の科目と出題範囲

中小企業診断士の1次試験の科目と出題範囲は次のとおりです。

試験科目 出題範囲
経済学・経済政策 マクロ経済学とミクロ経済学の基本理論やモデル、経済指標や政策の読み方、国際収支や為替相場など
財務・会計 財務諸表の読み方や分析方法、会計処理のルールや仕組み、資金調達や投資評価、企業価値やリスク管理など
企業経営理論 経営戦略論、組織論、マーケティング論といった企業経営に関する基本的な知識や理論
運営管理 経営診断や経営計画、品質管理や生産管理、人事管理や労務管理など、中小企業の運営に関する知識や技能
経営法務 民法や商法をはじめとする各種法律知識や用語、契約書作成や判例分析など、中小企業の経営に関わる法律問題
経営情報システム 情報システムの基礎知識や構築方法、情報セキュリティやデータベースなど、中小企業の情報化に関する知識や技能
中小企業経営・中小企業政策 中小企業の特徴や課題、中小企業支援制度や政策、中小企業診断士の役割や実務など

1次試験の科目ごとの重要度と優先順位

次に各科目の重要度を踏まえ、勉強の優先順位をつけてみました。ただし、あくまでも目安であるため、自分の得意科目や不得意科目などとのバランスを考えて優先順位を決めてください。

優先順位 科目 二次試験との関連性 重要度
1 運営管理 高い(経営診断や経営計画など) A
2 経済学・経済政策 中程度(経済環境や経済政策など) B
3 企業経営理論 高い(経営戦略やマーケティングなど) A
4 経営法務 低い(法律知識や契約書作成など) C
5 財務・会計 中程度(財務分析や会計処理など) B
6 経営情報システム 中程度(情報システムやデータベースなど) B
7 中小企業経営・中小企業政策 中程度(中小企業の特徴や支援制度など) B

1次試験の学習方法

1次試験の各科目の出題範囲を確認した後は、過去問で出題傾向を把握してください。毎年の出題内容を確認していくことで、傾向が把握できます。例えば、財務・会計であれば、財務諸表の読み方や会計処理のルールや仕組みに関しての理解が必要です。

経営法務であれば法律知識や用語の意味を覚えているかが試されます。各科目の出題傾向を把握して、自分に足りていない部分をまんべんなく学習していきましょう。

2次試験に合格するには実践力と論理力を身につける

ここからは2次試験の科目や出題範囲などをご紹介します。難易度や対策も解説しますので、学習計画に反映させましょう。

2次試験の科目と出題範囲

2次試験では企業の事例が4ページ程度、提示されて事例に対する問題が5問程度出題されます。大半は150〜200文字程度の字数制限があり、簡潔に表現するスキルが求められます。過去の出題事例については下表をご覧ください。

事例 内容
事例Ⅰ 組織(人事を含む)を中心とした 経営戦略および管理に関する事例
事例Ⅱ マーケティング・流通を中心とした 経営戦略および管理に関する事例
事例Ⅲ 生産・技術を中心とした 経営戦略および管理に関する事例
事例Ⅳ 財務・会計を中心とした 経営戦略および管理に関する事例

2次試験の難易度と対策

2次試験は相対評価であり、他の受験者の成績も影響します。また、中小企業診断士試験の全体の合格率は5%程度であることからも2次試験のハードルの高さが伺えます。

中小企業診断士の2次試験の難易度を大学受験の偏差値で表すと「62」程度が想定されます。偏差値62は明治大学や青山学院大学、中央大学などの有名私立大学に匹敵するレベルです。

2次試験のハードルを突破するには、過去問の分析を十分に行い、論理力の向上、時事問題や政策動向の知識のアップデートが必要です。

口述試験に合格するには自分らしく伝える

2次試験を突破すると最後の難関として、口述試験があります。口述試験まで進むと、ほとんどの受験生が合格できますが、油断せずに対策しましょう。

口述試験の目的と評価基準

口述試験の目的は中小企業診断士として必要なコミュニケーション能力や経営コンサルティング能力を確認することです。受験者1人に対して試験官3人の構成で実施されます。試験時間は10分程度で、2次試験の4つの事例からランダムに質問があります。

受験者の回答から経営課題の把握力や論理的思考力などをもとに評価しますが、2次試験で回答した内容に答えられたら合格できるでしょう。

口述試験で使えるテクニックと注意点

口述試験では限られた時間で自分の考えを述べることになります。そのため、結論から話して自分の主張を明らかにする必要があります。そして、試験官から質問があれば、同じように結論から話して行きましょう。

必要以上に話題を広げると主旨が伝わらなくなり、逆効果ですので注意してください。質問内容に対する回答ができない場合や分からない場合は「わかりません」と正直に答えるほうが好印象です。

口述試験でアピールできるポイント

口述試験では、自分のコミュニケーション能力や経営コンサルティング能力をアピールすることができます。

よって、自分の経験や知識を関連付けて回答したり自分の考えをはっきりと伝えることが大事です。また、試験官とのコミュニケーションを円滑にするためにも、相槌を打ったり目線に気を付けたりしてみましょう。

まとめ

中小企業診断士試験の受験科目は多岐にわたります。まずは1次試験を突破し、2次試験に進むことを目標に学習を進めてください。口述試験については、特別なスキルが求められるわけではありませんので、2次試験の内容を振り返り、回答できるようにしましょう。

試験科目や傾向を把握して中小企業診断士試験に挑んでください。

参考

https://studying.jp/shindanshi/about-more/more-subject.html

https://www.agaroot.jp/shindanshi/column/subject/

https://www.net-marketing.co.jp/school-select/shindanshi/article/407/

https://www.tac-school.co.jp/kouza_chusho/chusho_sk_idx/chusho_shiken_1ji.html