税理士試験に独学で合格するのは難しい?合格率や勉強方法、向いている人も解説

税理士試験に向けて独学で合格できるかどうか、疑問に思っている方はいないでしょうか。

税理士は難関資格であり、独学では難しい側面があります。その理由を確認し、適切な対策を講じて学習することが大事です。

そこで、今回は税理士試験に独学で合格するのが難しい理由、さらに合格率、独学での勉強方法を解説します。

最後まで読むことで、独学で合格するための行動が分かります。

税理士試験に独学で合格するのが難しい理由

まずは税理士試験に独学で合格するのが難しい理由を4つの観点から解説します。

得点力を向上させるのが難しいから

1つ目は得点力を向上させるのが難しいからです。

税理士試験は、知識だけではなく、応用力や解答力も求められる難易度の高い試験です。独学では、自分の弱点や間違いに気づきにくく、得点力を向上させるのが難しいと言えます。

また、税理士試験は、解答は記述式であり、正確かつ簡潔に書くことが必要です。

これらの問題を解くには、知識を応用した解答力や論理的な表現力が必要です。

しかし、独学では、自分の解答が正しいかどうか判断することが難しく、自己採点も不十分になりがちです。

計画的に勉強を継続するのが難しいから

2つ目は計画的に勉強を継続するのが難しいからです。税理士試験は、多くの科目と範囲をカバーする必要があり、長期間にわたって勉強することが必要です。

独学では、自分で学習計画を立てたり、モチベーションを保ったりするのが難しく、計画的に勉強を継続できないこともあります。

また、独学では、自分で学習計画を立てることが難しく、どの科目から始めるかやどのくらいのペースで進めるかなどを決めることができません。

結果的に、途中で挫折したり、サボったりする可能性もあります。そのため、独学での合格が難しいと言われるのです。

合格率が低い傾向にあるから

3つ目は税理士試験の合格率が低い傾向にあるからです

税理士試験の合格率は、例年15%前後です。必須科目の合格率は高い傾向にありますが、選択科目の合格率は低い傾向です。

過去の合格率の推移から大きく上昇していないため、安定的に難易度が高いことも考えられます。

試験の配点などが公開されていない点から、税理士試験に合格するには、上位10%以内に入ることが目安とも言われています。

受験者は数万人程度いますので、上位10%以内に入る難しさが想像で切るのではないでしょうか。

3,000時間程度の勉強時間が目安だから

税理士試験に合格するには、3,000時間程度の勉強時間が必要とされています。ただし、さまざまな見方もあり、2,000時間や2,500時間などと言われるケースもあります。

しかし、いずれの場合においても、年1回の試験であり、幅広い科目を応用力まで身につける必要があるので、勉強時間の各日が必要です。

例えば、「法人税法」、「所得税法」、「消費税法」などの科目では、それぞれ約1000ページ以上の参考書を読み込む必要があります。

これだけでも数百時間かかります。さらに問題演習や過去問なども必要です。これらを合わせると、1科目あたり莫大な学習時間が必要となります。

また、社会人であれば、仕事との両立をしなければならず、勉強時間の確保に苦戦することもあるでしょう。

さまざまな要因から考えると、独学での勉強の難しさが分かります。

税理士試験の合格率

ここからは、税理士試験の合格率をさまざまな角度からご紹介します。

今回は令和4年度実施における合格率に関して見ていきます。

学歴等区分 年齢別 受験者数 5科目到達者数 一部科目合格者数 合格者数合計 合格率
大学卒 21,822 493 3,561 4,054 18.6
大学在学中 1,463 436 436 29.8
短大・旧専卒 660 16 75 91 13.8
専門学校卒 2,591 59 404 463 17.9
高校・旧中卒 1,962 44 389 433 22.1
その他 355 8 141 149 42
41歳以上 10,805 274 965 1,239 11.5
36~40歳 4,407 112 743 855 19.4
31~35歳 4,581 114 901 1,015 22.2
26~30歳 4,131 82 911 993 24
25歳以下 4,929 38 1,486 1,524 30.9
合計 28,853 620 5,006 5,626 19.5

さまざまな見方がありますが、学歴別では大学在学中の合格率が最も高いです。

年齢別では25歳以下の合格率が高い点を踏まえると、早期に税理士試験を想定し、勉強してきた受験生が合格しやすいのではないでしょうか。

次は科目別合格率をみていきましょう。

区分 受験者数 合格者数 合格率
科目
簿記論 12,888 2,965 23.0
財務諸表論 10,118 1,502 14.8
所得税法 1,294 182 14.1
法人税法 3,454 425 12.3
相続税法 2,370 336 14.2
消費税法 6,488 740 11.4
酒税法 454 60 13.2
国税徴収法 1,709 235 13.80
住民税 476 82 17.2
事業税 269 38 14.1
固定資産税 910 167 18.4
合計(延べ人員) 40,430 6,732 16.7

上表で簿記論と財務諸表論は必須科目です。

また、所得税法と法人税法はいずれか1科目以上を選ぶ選択必須科目です。残りの科目から2科目もしくは1科目を受験し、合計5科目から出題されます。

参考:国税庁「令和4年度(第72回)税理士試験結果」

独学で税理士試験に合格する戦略

独学での税理士試験合格はハードルが高いですが、合格するための戦略を確認し、勉強に励んでみましょう。

学習計画を綿密に立てる

独学で税理士試験に合格するためには、学習計画を綿密に立てることが重要です。

学習計画を立てることで、目標や進捗を明確にし、効率的に勉強することができます。

学習計画を立てる際には、以下のようなポイントに注意してみてください。

  • ・現実的かつ具体的な目標を設定すること。「全科目合格する」ではなく、「法人税法は80点以上取る」など。
  • ・学習時間や頻度を決めること。「毎日3時間勉強する」や「週末は6時間勉強する」など。
  • ・学習内容や方法を決めること。「法人税法は参考書を読む」や「所得税法は問題集を解く」など。
  • ・学習計画を記録すること。「カレンダーやノートに書く」や「アプリやソフトで管理する」など。
  • ・学習計画を見直すこと。「模擬試験や過去問で自己評価する」や「学習計画に遅れていないか確認する」など。

無理のない学習計画を立てて、コツコツと実行していきましょう。

自分に合う参考書を見つける

また、自分に合う参考書を見つけることが重要です。参考書は、学習の基本となる教材です。

自分に合う参考書を見つけることで、理解しやすく、効果的に勉強することができます。参考書を選ぶ際には、下記に着目してください。

  • ・試験範囲と内容が正確で最新であること。「税理士試験対策シリーズ」や「税理士試験完全攻略シリーズ」などの定番のシリーズものや、「税理士試験公式テキスト」などの公式の教材などです。
  • ・読みやすさやわかりやすさが高いこと。説明が平易で図解が多いものや説明が簡潔で要点がまとめられているものなどです。
  • ・問題演習や過去問が充実していること。問題演習が多いものや科目横断的な問題が多いものなどです。

参考書や問題集選びをおろそかにすると、効果的な学習につながりません。自分に合う参考書を見つけましょう。

受験情報をキャッチする

さらに、受験情報をキャッチすることも大切です。

受験情報とは、試験の日程や出題傾向や攻略法などの情報です。受験情報をキャッチすることで、試験に対する準備や対策を効果的に行えます。

受験情報をキャッチする際には、以下のような方法があります。

  • ・公式サイトや公式SNSなどをチェックする。
  • ・雑誌や書籍などを読む。
  • ・オンラインサービスやコミュニティなどを利用する。

SNSやオンラインサービスであれば、受験仲間との購入も可能であり、勉強へのモチベーションを高める効果も期待できるでしょう。

オンライン講座を活用する

自分の力だけで解決できないことも想定し、オンライン講座も活用してみてください。

オンライン講座を活用することで、専門家の知識や経験を学ぶことができます。オンライン講座では、単に講義を受けるだけではなく、講師への質問も可能です。

受験情報も提供されるなど、独学では手間や負担のかかることもオンライン講座を活用すれば、効率的に進められます。

税理士事務所に勤務しながら勉強する

税理士事務所に勤務しながら勉強することも効果的です。

税理士事務所とは、税理士が開業している事務所であり、勤務しながら勉強すれば実務経験や知識を得ることができます。

ただし、勉強時間の確保も重要であり、税理士事務所に勤務したい場合は勤務先の選定が大事です。

  • ・勤務先を選ぶこと。「自分の興味や目標に合った業種や業界のクライアントを持つ事務所」や「自分の学習スタイルやペースに合わせて柔軟に対応してくれる事務所」などです。
  • ・勤務時間や条件を確認すること。「自分の生活リズムや予定に合わせてシフトを調整してくれるか」や「自分の受験目標や学習計画を尊重してくれるか」などです。

上記のポイントをもとに勤務先を選んでみましょう。

独学で税理士試験に合格するための勉強方法

ここでは、独学で税理士試験に合格するための勉強方法を具体的に紹介します。

理解しやすい科目から学習を始める

まずは理解しやすい科目から学習を始めてください。

理解しやすい科目とは、自分の興味や関心が高い科目や、自分の基礎知識が豊富な科目のことです。

理解しやすい科目から学習を始めることで、学習のモチベーションや効果を高められます。

視覚や聴覚をフルに使う

次に視覚や聴覚をフルに使うことです。

視覚や聴覚をフルに使うとは、参考書や問題集だけでなく、動画や音声などのメディアも活用することです。

視覚や聴覚をフルに使うことで、学習の効率や効果を高められます。

問題演習のレベルは徐々に上げる

さらに、問題演習のレベルを徐々に上げてください。

問題演習のレベルを徐々に上げることで、知識の定着や応用力の向上を図れるからです。そのためには、時期に応じて適切な問題集を選ぶ必要があります。

問題集と過去問では解き方を覚える

問題集と過去問では解き方を覚えることが大事です。

具体的には問題の種類やパターンに応じて、効率的な解答方法やコツを身につけることです。解き方を覚えることで、試験時の時間や精度を向上させることが可能です。

模擬試験などを受験して本番を想定する

模擬試験などを受験して本番を想定することも大事です。

本番を想定し同じような条件で模擬試験を受験すると、本試験への対応力や自信を高められるからです。

模擬試験を受験できない場合は、過去問や予想問題を本番と同じ状況で解いても良いでしょう。

諦めずに勉強を継続する

最終的には諦めずに勉強を継続することが大事です。

勉強を継続すれば、コツコツと知識が身につき、合格に近づけます。諦めずにモチベーションを保ちながら勉強を進めましょう。

独学で税理士試験への挑戦が向いている人

独学で税理士試験への挑戦が向いている人も紹介します。

独学に向いている人であれば、自分なりにモチベーションを保ちながら勉強を継続できるでしょう。

1人の行動が好きな人

1人行動が好きな人は独学が向いています。一人の行動が好きな人は、独学で税理士試験に合格するために必要な自律性や自己管理能力を持っている場合があるからです。

また、常に自分の行動を見直して改善することも考えられます。

ただし、1人行動が高い人が必ずしも自己管理能力にたけているとは言い切れませんので、自分自身の性格などを振り返り、学習計画を作成してください。

既に税理士事務所で働いている人

既に税理士事務所で働いている人も独学が向いています。

先輩税理士から実務をもとにさまざまなアドバイスを受けられたり、税務関係の最新情報をキャッチできたりするからです。

また、先輩税理士がメンターとなって、サポートしてくれることもあるでしょう。

ただし、先述のとおり、勤務先選びを慎重にしなければ、勉強時間の確保ができない恐れがあります。

独学で税理士試験合格を目指そう

税理士試験は独学でも合格できる可能性はありますが、それには高いモチベーションと計画性が必要です。

また、自分に合った教材や勉強方法を見つけることも重要です。

税理士試験は長期戦ですが、諦めずにコツコツと努力すれば、合格に近づけます。万全な対策を講じて試験に挑んでください。

https://zeirishi.mynavi-agent.jp/helpful_mt/2020/08/577.html

https://www.abitus.co.jp/column_voice/uscpa/column_voice75.html

https://studying.jp/zeirishi/about-more/dokugaku-goukaku.html

https://gooschool.jp/online/tax-accountant-self-study/#index_id4

https://resemom.jp/manabi/zeirishi-dokugaklu/