宅建士の資格を取るべきか?やめとけと言われる理由とメリットを徹底解説!

宅建士は不動産業界で必要不可欠な国家資格ですが、実際にはやめとけと言われることも多いです。

一体なぜでしょうか?宅建士の資格は本当に意味がないのでしょうか?

この記事では、宅建士の資格について、やめとけと言われる理由とメリットを徹底解説します。宅建士の仕事内容や年収、活躍できる業界なども紹介します。

宅建士の資格を取ろうか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

宅建士とは?

まずは、宅建士とはどんな資格なのか、基礎知識を解説します。

宅建士の役割

宅建士とは、正式には宅地建物取引士という国家資格です。

宅建士の主な役割は、不動産の売買や賃貸の取引において、お客様に重要な事項を説明することです。この説明は重要事項説明と呼ばれ、契約書に記名・押印する前に行われます。

重要事項説明では、物件の状態や権利関係、契約内容や注意点などを詳しく伝えます。お客様が安心して契約できるようにサポートするのが宅建士の仕事です。

宅建士の独占業務は?

宅建士には 独占業務 があります。独占業務とは、その資格を持っていない人は行えない業務のことです。

建士の独占業務は次の3つです。

  • ・重要事項説明
  • ・35条書面(重要事項書面)への記名
  • ・契約書(37条書面)への記名

これらの業務は、不動産取引に欠かせないものです。つまり、 宅建士がいなければ不動産取引ができない ということです。

また、不動産会社には設置義務 があります。設置義務とは、従業員の5人に1人以上、宅建士が在籍しなければならない決まりです。

これらのことからも分かるように、宅建士は不動産業界で非常に重要な存在です。

宅建士はやめとけと言われる理由とは?

次に、宅建士はやめとけと言われる理由を見ていきましょう。一体どんな理由があるのでしょうか?

列挙した理由をそれぞれ確認していきましょう。

不動産業界の仕事がきつい・ブラックだから

一つ目の理由は、 不動産業界の仕事がきつい・ブラックだから です。宅建士は不動産業界で働くことが多いので、その業界のイメージが悪いということです。

不動産業界の仕事は、以下のような特徴があります。

  • ・営業職が多く、ノルマや競争が厳しい
  • ・契約に関するトラブルやクレームが多い
  • ・土日や祝日、夜間も仕事がある
  • ・給料は歩合制やインセンティブ制が多く、安定しない

これらのことから、不動産業界の仕事は キツい・ブラック だと言われることがあります。

宅建士になっても、このような環境で働かなければならないと思うと、やめとけと言われる理由になるわけです。

資格と実務がかけ離れているから

二つ目の理由は、資格と実務がかけ離れているからです。

宅建士の試験は法律に関する知識を問うものですが、実際の仕事ではその知識を使う機会は少ないということです。

宅建士の試験では、次のような法律に関する知識を問われます。

  • ・宅地建物取引業法
  • ・民法 など

これらの法律は、不動産取引に関する重要なルールです。しかし、実際の仕事では、これらの法律を細かく覚えておく必要はありません。

なぜなら、 重要事項説明書(35条書面)や契約書(37条書面)はほぼ決まったフォーマットで作成されており、その内容を説明すれば業務を円滑に進められます。

合格できない人が言ってるだけ

宅建士の試験は例年、20万人ほどの受験者のうち15%前後の受験者が合格しています。他の国家資格に比べて、合格率は高い部類に属します。

しかし、宅建士の試験は相対評価であり、上位15%前後の受験者が合格していることを意味します。

そのため、惜しくも合格ラインに乗らなかった人もでてくるわけです。

そのため、合格できない人が努力が叶わなかったために「やめとけ」と言うケースもあるわけです。

宅建士のメリットとは?意味がある理由

宅建士は「やめとけ」と言われることもありますが、メリットも数多いです。そのなかから5つのメリットをご紹介します。

法律に詳しくなって損を避けられる

宅建士の試験では、不動産に関する法律や制度を幅広く学びます。

これにより、不動産取引や契約におけるトラブルやリスクを回避することが可能です。

例えば、現場では重要事項説明や契約書の作成などにおいて、宅建士の知識が役立ちます。

また、自分自身が不動産を購入や売却する際にも、宅建士の資格があれば、損をしないように交渉を進められるでしょう。

自信がつく

宅建士の試験は、他の士業などに比べて合格率が高いですが、相応の勉強が必要です。

そのため、宅建士の資格を取得することは、自分の能力や努力の証明になります。 

宅建士の資格を持っていると、自分に自信がつき、仕事や人生に前向きになれます。

また、宅建士の資格は社会的にも認められており、名刺や履歴書に書けば印象が良くなりやすいです。 

就職・転職で有利になる

宅建士の資格は不動産業界で必要不可欠な資格であり、資格を持っていると、就職や転職で有利になります。

不動産業界では人手不足や高齢化が問題となっており、宅建士を確保しづらいケースがあります。

 そのため、宅建士の資格を持っている人は不動産業界で高い需要が期待できるのです。

特に中小企業では、人材が大手に流れたり、宅建士として登録しなかったり、他業界に転職したりするケースが多く見られ、資格を持っている人を積極的に採用したいと考えています。

給料や年収が上がる

宅建士の資格を持っていると、給料や年収が上がる可能性があります。 一般的には、宅建士の資格を持っている人は持っていない人よりも給料や年収が高い傾向です。

これは、宅建士の資格は専門性や責任感が高く評価されるからです。 

また、一部の企業では、宅建士の資格を持っている人に対して資格手当や報奨金などを支給しています。

手当や報奨金は給料や年収に上乗せされるため、宅建士の資格を持っていると収入が増えるのです。

独立開業できて大きく稼げる

宅建士の資格を持っていると、独立開業もできます。  独立開業すれば、自分の好きな仕事やスタイルで働くことができます。

た、歩合制や成果報酬制などの報酬体系を採用すれば、大きく稼ぐことも可能です。

自分の力や能力を試したい方であれば、宅建士の資格をもとに不動産関係で独立しても良いでしょう。

宅建士の仕事内容と年収の現実

ここからは宅建士の仕事内容について、詳しく見ていきます。また、資格取得を目指す人にとって気になる年収についても解説します。

宅建士の仕事は営業や管理が中心

先述のとおり、宅建士はお客様への重要事項説明や契約書の作成などを行います。

しかし、専門的な業務だけを担当するわけではありません。就業先にもよりますが、営業や管理業務も担うケースが多いです。

重要事項説明などの専門的な業務も含め、幅広い仕事を担当する際はさまざまなスキルが求められます。特に客や取引先とのコミュニケーションや交渉が重要です。

また、自分の担当する物件や契約の管理や進捗もしっかりと行わなければなりません。 

さらに、自分で新規の顧客や物件を開拓したり、既存の顧客や物件をフォローしたりすることも求められます。

このように、宅建士の仕事は、営業や管理が中心となることも多いです。

宅建士の平均年収は300~500万円

宅建士の平均年収は300〜500万円程度と言われています 。 ただし、これはあくまでも目安であり、個人差があります。

年収は勤務先や職種、役職や経験などによって変わります。

 また、歩合制や成果報酬制などの報酬体系を採用している場合は、売上や成績によって変動します。

独立開業している場合は、自分で稼ぐことになり、収入ゼロもあれば年収1,000万円なども夢ではありません。 このように、宅建士の年収はさまざまな要因に影響されます。

宅建士資格からのステップアップ

宅建士資格を取得した後にはさまざまな資格にステップアップできます。これは宅建士の試験の知識をベースにできるものです。

宅建士は「やめとけ」と言われたとしても、先々のステップアップを見越して、他の資格に挑戦してみてはどうでしょうか。

宅建士資格からステップアップできる資格を8つご紹介します。

司法書士

司法書士が行う不動産登記業務は、不動産の所有権や抵当権などの権利関係を公示するために、登記簿に記録することです。

この登記業務を行うには、不動産登記法や民法などの法律知識だけでなく、不動産取引の実務知識も必要です。

なぜなら、登記申請の内容は、不動産取引によって発生した契約や事実に基づいて決まるからです。 

よって、不動産取引に関する法律や手続きを学ぶ宅建士試験の知識は、司法書士として登記業務を行う上で欠かせないものです。

宅建士と司法書士のダブルライセンスを持つと、不動産取引から登記まで一貫して対応できるため、顧客からの信頼や満足度が高まります。 

また、宅建士試験と司法書士試験は、共通科目が多く、出題形式や難易度も似ています。

宅建士試験で身につけた問題解決能力や学習方法は、司法書士試験にも有効に活用できます。

行政書士

行政書士は国や地方自治体に対してさまざまな法的手続きを代行できる人物です。

行政書士試験では、民法をはじめとする基本的な法律知識のほかに、行政法や行政手続法など、行政に関する法律知識も問われます。

宅建士試験で学んだ民法の知識は、行政書士試験の重要な基礎となります。

また、宅建士試験で鍛えた法律の条文を読み解く力は、行政書士試験でより高度なレベルに引き上げることができます。

行政書士になると、不動産業に関連する許認可申請だけでなく、会社設立や遺言執行など、幅広い分野で顧客のニーズに応えることができます。自分の事務所を開いて独立開業することも可能です。

管理業務主任・マンション管理士

現在、都市部では新築マンションの需要が高く、その管理にも高いレベルが求められています。

そのため、不動産の売買や仲介、賃貸などの業務に携わる人にとって、マンション管理の知識は必須です。

不動産会社も、社員に管理業務主任者の資格取得を推奨しており、資格保有者は優遇されます。

管理業務主任者試験は、宅建士試験と同じく、民法や宅建業法などの法律科目が多く出題されます。

しかし、宅建士試験よりも問題がわかりやすく、正答率が高いです。また、区分所有法や管理組合法など、マンション管理に特化した科目もあります。

不動産のプロとしてスキルアップしたい方は、管理業務主任者の資格取得にチャレンジしてみてください。

土地家屋調査士・測量士補

土地家屋調査士とは、不動産の境界や面積などを測量し、登記簿に正確に記載するための資格です。

この資格を取得するには、不動産登記法や測量法などの法律知識や、測量機器の操作方法などの技術知識が必要です。

土地家屋調査士になると、不動産取引において重要な役割を果たし、顧客からの信頼を得ることができます。

また、土地家屋調査士は、自分で事務所を開設して独立開業することもできます。

宅建士試験で学んだ不動産の基礎知識は、土地家屋調査士試験の助けになります。

不動産のスペシャリストとしてキャリアアップしたい方は、土地家屋調査士の資格取得に挑戦しても良いでしょう。

不動産鑑定士

不動産鑑定士試験は、短答式試験と論文式試験の二段階で行われます。

短答式試験では、行政法規という科目がありますが、その中の40問のうち、24問は宅建士試験で学んだ法律知識が使える問題です。

宅建士試験で学んだ法律は、37個ある行政法規の法令のうち、13個にも及びます。

これは、宅建士試験を受けた人にとって大きなアドバンテージです。

なぜなら、行政法規の勉強時間を短縮できるだけでなく、不動産鑑定士試験の最も難しい科目である鑑定理論に集中できるからです。

鑑定理論は、論文式試験でも出題される重要な科目です。宅建士から不動産鑑定士にステップアップしたい方は、不動産鑑定士も狙い目です。

社会保険労務士

社会保険労務士とは、労働法や社会保険法など、人事労務に関する法律や制度を熟知した専門家です。この資格は、会社の人材管理や給与計算などの業務に必要です。

宅建士と社会保険労務士のダブルライセンスを持つと、不動産業界においても優位に立つことができます。

なぜなら、不動産の売買や仲介においては、お客様のライフプランに合わせた不動産の選択や資金計画を提案できるからです。

た、人事労務に関する知識は、自分自身のキャリア形成や転職活動にも役立ちます。

FP(ファイナンシャルプランナー)

FP(ファイナンシャルプランナー)とは、お金に関する総合的な知識を持ち、顧客のライフプランに応じたコンサルティングを行う資格です。

この資格は、不動産や金融の分野で高い需要があります。不動産取引には保険や資産運用や税金などの要素が関係してくるからです。

ファイナンシャルプランナー試験では、保険や資産運用などの要素について学ぶことができます。

試験勉強で身につけた知識は、不動産営業において、お客様に最適な不動産の選択や資金計画を提案できる力になります。

宅建士とファイナンシャルプランナーのダブルライセンスを持つと、不動産のプロとして信頼されるだけでなく、収入もアップする可能性があります。

賃貸不動産経営管理士

賃貸不動産経営管理士とは、マンションやアパートなどの賃貸住宅の入居者募集や契約締結、家賃回収や修繕管理などの業務を行う専門家です。

この資格は、賃貸管理業の従業員はもちろん、自分で賃貸物件を所有している大家さんや、不動産投資に興味がある方にもおすすめです。

近年、賃貸住宅の需要が高まっており、賃貸不動産経営管理士の受験者も増加しています。

賃貸不動産経営管理士は、不動産業界で活躍するための新しい資格です。

宅建士の実態を知っておこう

宅建士は「やめとけ」と言われる理由はさまざまです。しかし、その声を払しょくするようなメリットも多いです。また、自分の頑張り次第では高収入を得ることも可能です。

また、宅建士は他の資格試験への足がかりとなる資格となります。将来を見越して宅建士に取り組んでも良いでしょう。

宅建士は大変な面も多いですが魅力ある資格です。実態を把握して、資格試験に挑んでください。