公認会計士はやめとけと言われる理由!魅力や比較したい資格も紹介
公認会計士を目指す方で「やめとけ」という声が気になる方はいないでしょうか。公認会計士はさまざまな理由から「やめとけ」と言われる場合があります。
しかし、本当に公認会計士を目指すのをやめておいた方がいいのか悩むものです。
そこで、今回は公認会計士がやめておけと言われる理由だけではなく、魅力なども詳しく解説します。
試験合格を目指したい人は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
「公認会計士はやめとけ」と言われる理由
まずは「公認会計士はやめとけ」と言われる主な理由を4つに絞ってご紹介します。
試験難易度が高いから
公認会計士試験は、国家資格試験の中でも最難関の一つと言われており、合格率は10%前後です。
試験は短答式と論文式の両方に合格しなければならず、勉強時間は平均で約1,500時間や2,000時間が目安となっています。
さらに1回の受験で合格するケースも限られており、何度も受験して合格する方もいます。
何年も勉強を続け、ときには予備校費用なども継続しなければならず、費用対効果の面からやめとけと言われる場合があるのです。
仕事内容が単調だから
公認会計士の仕事は、主に監査や税務などの会計業務です。
これらの業務は、法律や規則に基づいて行わなければならないため、創造性や自由度が低く、単調で退屈に感じる人も多いです。
また、クライアントの要望に応えるために、細かいミスや不備を見逃せないため、ストレスが高いです。
ただし、クライアントの経営や財務に関わることができたり、社会的信用を得られたりする面もあり、自分の仕事にやりがいや価値を見出すことも可能です。それを感じられないと、単調さやストレスを抱えやすいでしょう。
仕事が激務だから
公認会計士の仕事は、繁忙期や決算期などに忙しくなる傾向があります。
特に監査業務では、期限内に監査報告書を作成しなければならないため、残業や休日出勤が多くなります。平均的な残業時間は月に何十時間もの残業をするケースもあるでしょう。
例えば、監査業務では、3月から6月までが決算監査の繁忙期であり、10月から12月までが中間監査の繁忙期です。
これらの期間中は、クライアントの現場に出向いたり、深夜まで事務所に残ったりすることが多くなります。
また、税務業務では、2月から3月までが確定申告の繁忙期であり、7月から8月までが中間申告の繁忙期で、クライアントからの相談や資料作成に追われるでしょう。
特定の時期に仕事量が集中するため、体力や精神力を消耗します。
将来性に不安を感じやすいから
公認会計士は仕事の特性から、将来に不安を感じやすいです。理由はAIやRPAなどのツールの進化です。
例えば、監査業務では、AIが自動的に帳簿や証憑をチェックしたり、異常を検出したりすることができるようになるかもしれません。
これらの技術や制度の進化に対応できるかどうかは、公認会計士の将来性に影響を与えるでしょう。
必ずしも全ての公認会計士の仕事が奪われるとは言い切れませんが、先々の不安から「やめとけ」と言われる点は誰もが想像できます。
公認会計士に魅力はないのか?価値のある資格である
様々な理由から「公認会計士はやめとけ」と言われますが、本当に魅力はないのでしょうか。ここでは、公認会計士の魅力をご紹介します。
新卒や1年目から年収が高い
公認会計士は、新卒や1年目から年収が高いです。公認会計士試験に合格することは、企業や社会から高く評価されることであり、それに見合った報酬を得られることになります。
平均年収は約750万円程度ですが、新卒や1年目でも600万円以上の年収を得られることが多いです。
特に大手監査法人や税理士法人などでは、年収1,000万円など高い給与水準を設定しています。
公認会計士の年収の高さは、試験に合格することが難しいことや、公認会計士の仕事が重要であることを反映しています。
よって、公認会計士は、自分の努力や能力に応じた報酬を得られる資格です。
キャリアパスが幅広い
公認会計士は、キャリアパスが幅広いです。
監査法人や税理士法人などの専門職だけでなく、企業の経理や財務などの管理職やコンサルタントなどの専門家としても活躍できます。また、独立開業することも可能です。
- 監査法人:主に上場企業や大手企業の財務諸表の監査を行います。
- 税理士法人:主に企業や個人の税務申告や税務相談を行います。
- 企業:主に経理や財務などの管理職として働きます。
- コンサルタント:主に企業や個人の経営や財務に関する問題を解決するためのアドバイスや支援を行います。
- 独立開業:自分で事務所を開設して、監査や税務などの会計業務を行います。
上記のように働く場所などによって、業務も異なります。さまざまな業務に携われる点からもキャリアパスが幅広いです。
会計に関してはどんな仕事もできる
公認会計士は、会計に関する知識やスキルを持っています。
会計は企業や個人の経済活動を記録や分析することであり、さまざまな分野や業種において必要とされるものです。
そのため、公認会計士は、会計に関してはどんな仕事もできると言えます。
- 財務諸表の作成や分析:企業の財務状況や業績を示すものです。財務諸表の作成や分析は、経営判断や投資判断に重要な役割を果たします。
- 予算管理や資金調達:予算管理や資金調達は、企業の財務戦略に関わることです。
- 内部統制やリスク管理:内部統制やリスク管理は、企業の信頼性や安全性を高めることです。
上記のように、例えば企業に努めていても会社の重要事項に関係することが多く、役職や年収に反映される場合もあります。
社会的信用が高い
公認会計士は、社会的信用が高いです。理由は国家資格であり、厳しい試験に合格した人だけが取得できるからです。
また、公認会計士は、法律に基づいて監査や税務などの重要な業務を行なうため、社会から信頼される存在となります。
具体的には監査報告書の作成や税務申告書の作成などが挙げられます。
これらの業務は法律をもとに正確にこなす必要があるため、対外的には信用度が高くなるのです。
受験資格に学歴が関係ない
公認会計士は、受験資格に学歴が関係ありません。
もちろん、相当量の勉強が必要ですが「大学卒」「大学院卒」などの学歴は必要なく、さらに年齢や性別、国籍も問われません。つまり、誰もが挑戦できる資格試験であり、これまでもさまざまな経歴の方が合格しています。
公認会計士の業務も含めて、能力主義である点が伺えます。
公認会計士になって良かった人も多い
公認会計士はやめとけと言われる理由がありますが、それだけではなく、公認会計士になって良かった人も多いです。
公認会計士になって良かった人は、自分の仕事にやりがいや充実感を感じています。
例えば、自分の知識やスキルを活かして社会貢献ができると感じたケースです。
公認会計士は、企業や個人の経営や財務に関する問題を解決することができ、経済社会の発展や安定への寄与が可能です。中小企業支援などはその一例でしょう。
また、自分の働き方をコントロールできる点においても、公認会計士になってよかったと感じる人がいます。
在宅勤務やフリーランスなどの働き方は、昨今の社会情勢なども踏まえており、公認会計士もその働き方を実現できるわけです。結果としてプライベートの充実も図れるでしょう。
公認会計士に向いている人とは?
試験の合格率が低く、合格へのハードルが高い公認会計士ですが、どのような人が向いているのでしょうか。
公認会計士に向いている人の特徴として、3つの内容をご紹介します。ご自身にも当てはめて、公認会計士に向いているか確認してみましょう。
根気強く物事に取り組める人
まずは根気強く物事に取り組める人です。公認会計士試験に合格するまでには長期間の勉強や何度も挑戦が必要だからです。
また、公認会計士になったとしても、細かい作業や困難な問題に対処することが求められます。
試験合格までに何千時間もの勉強を継続するには、根気が必要です。
さらに、公認会計士の仕事は、細かい作業や困難な問題に対処することが多いです。クライアントの帳簿や証憑をチェックしたり、不正や違反を発見したりすることがあります。
また、税務業務では、クライアントの税金を節税したり、税務調査に対応したりすることがあります。
これらの作業や問題を根気強く解決することができる人が公認会計士に向いています。
自由度の高い生き方を目指したい人
次に自由度の高い生き方を目指したい人にも向いています。公認会計士は、自分で仕事量や期限を決めたり、自分で働く場所や時間帯を選んだりすることが多いからです。
また、自分で仕事やクライアントを選んだり、自分で報酬を決めたりすることもでき、自分の裁量で働くことができます。
先述のとおり、場合によっては在宅勤務やフリーランスとして働くことも可能です。
時代にマッチし公私ともに充実した生活を送りたい人は、公認会計士に向いているでしょう。
ある程度大雑把な人
一見すると公認会計士の特性と矛盾しますが、ある程度、大雑把な人にも向いています。
公認会計士の仕事では、完璧主義や細かいこだわりは逆効果になることがあるからです。
日々の業務の優先順位や重要度を見極めて、効率的に仕事を進めることが求められ、1つの業務にこだわりすぎると迅速にこなせません。
例えば、監査業務では、財務諸表に影響しないような細かいミスや不備に時間をかけすぎると、期限内に監査報告書を作成できなくなる可能性があります。
税務業務では、税法や税制の変更に対応して、最適な申告方法や節税策を提案することが重要ですが、税法や税制は複雑で多岐にわたるため、すべての細部に精通することは困難です。
大まかな全体の流れを把握して重要な部分に注力する必要があります。
このように優先順位や重要度を意識することが大事であり、それ以外にこだわり過ぎない人が向いています。
現実を見つめながら試験勉強する必要がある
公認会計士の魅力や向いている人を確認したら、試験に向けた心構えも見ていきましょう。
難関資格であるため、適切な心構えで挑まなければ合格できないからです。主に2つの観点から解説していきます。
学業や仕事・家事などとの両立する
受験者の多くの場合、学業や仕事、家事など勉強以外の時間が多いのではないでしょうか。そのため、いかに両立していくかがポイントです。
試験合格には1,500時間や2,000時間が必要とされているならば、1日4時間や5時間の勉強時間を確保する必要があります。
1日のタイムスケジュールを確認し、どこに勉強時間を入れ込むか、綿密に検討しなければ、適切な対策ができないでしょう。
学業や仕事などとの両立を図るためには、勉強する内容に優先順位をつけて、反復する必要があります。
机に向かって勉強するだけが学習ではないので、隙間時間の使い方も含めて十分な勉強時間を確保してください。
人生を左右する気持ちで取り組む
次は人生を左右する気持ちで勉強に取り組むことです。公認会計士試験に合格することは、自分のキャリアや収入、社会的地位などに大きな影響を与えます。もちろん、自分の夢や目標を実現することでもあります。
そのためには、公認会計士を目指す理由を明確にし、モチベーションを高めなければなりません。モチベーションを高めるには、成功体験を積んだり応援者を見つけたりすることが挙げられます。
自分一人では乗り越えられないことも、家族や友人、知人、同じ受験者などと支え合いながら勉強することで、合格に向けて歩んでいけるでしょう。
公認会計士を目指すか迷ったときに比較したい資格
「公認会計士を目指したいけれど足がかりになる資格を取得しておきたい!」という場合は、簿記2級以上か税理士試験がおすすめです。
それぞれの特徴をご紹介しますので、参考にしてください。
簿記2級以上
まずは日商簿記検定で2級以上を目指すのも有効です。
簿記2級以上は、企業の帳簿や財務諸表を作成するための基礎的な知識や技能を持っていることを示す資格です。
また、企業の経理や財務部門で働く人や会計事務所で働く人に求められる資格となります。
公認会計士試験よりも合格しやすく、学んだ内容はもちろん公認会計士試験にも活かせます。
資格取得後は実務経験を積みながら公認会計士試験に挑むこともできるでしょう。
税理士
税理士試験は国税庁が主催する国家試験です。
税理士は、企業や個人の税務申告や税務相談を行うことができる専門家です。法律に基づいて税金を正しく納めることや節税することを支援します。
税理士は、自分で事務所を開設したり、税理士法人に所属したりすることも可能です。
一概に難易度の低い試験とはいえませんが、公認会計士に比べれば多少は難易度が下がるでしょう。
しかし、難関試験ではあるため、安易な気持ちで受験しても合格できないでしょう。
なお、税理士の上位資格が公認会計士となり、公認会計士の資格を取得すれば税理士としての活動も可能です。
逆に税理士から公認会計士への転身の事例は少なく、税理士業務に専念するケースが多いです。
厳しさを受け止めて公認会計士試験に挑戦しよう
この記事では、公認会計士になるかどうかを決めるために知っておきたいことを解説しました。
公認会計士は、試験難易度が高く仕事が激務な資格ですが、それだけではなく、価値のある資格でもあります。
ただし、公認会計士になるには、現実を見つめながら試験勉強する必要があります。他の資格と比較して、自分の目標や適性を考えることも大事です。
自分にとっての最適な選択をして、公認会計士試験に挑戦してみてください。