税理士はやめとけと言われる理由とは?効率的な勉強法や資格取得のメリットを紹介!
税理士は税金に関する専門家として、個人や企業の税務相談や代理業務を行う資格です。
しかし「税理士はやめとけ」と言われることがあります。これはさまざまな理由によるものです。
そこで、この記事では、税理士はやめとけと言われる理由や、それに対する対策を紹介します。
また、税理士試験に合格するための効率的な勉強法や戦略も解説します。
税理士試験や仕事の不安点を確認しておきたい場合はぜひ参考にしてください。
目次
税理士はやめとけと言われる理由
税理士はやめとけと言われる理由は主に以下の3つです。
合格するまでに長期間かかるから
税理士試験は例年の合格率が15%前後で、難易度の高い試験です。合格率から税理士試験に合格するまでに多くの時間と労力が必要であることもわかります。
一般的には、会社員や学生など他の仕事や勉強をしながら受験する方が多いため、毎日数時間以上の勉強を続ける必要があります。
また、科目合格制であるため、一度に全科目を受験することは難しく、何年もかけて科目をクリアしていくのが一般的です。
税理士の仕事にやりがいや将来性を感じられないから
税理士の仕事は主に個人や中小企業の顧問契約を結んで、定期的な訪問や電話・メールでの相談に応じることです。
その際には、確定申告や決算書作成などの基本的な業務だけでなく、節税対策や経営改善提案などの付加価値の高い業務も行います。
しかし、このような仕事に対しても以下のような不満や不安がある方もいます。
- ・単調で退屈である
- ・クライアントの要望に応えるだけで自分の意見や提案が通らない
- ・税金に関する知識や技能を活かすことが少なく、更新や維持する意義が感じられない
- ・社会的な貢献度が低く、評価や報酬が見合わない
- ・将来的にAIやシステムに取って代わられる可能性が高い
上記のような理由から、税理士の将来性に不安から「やめとけ」と言われるわけです。
繁忙期の激務や職場の人間関係に疲れるから
税理士の仕事は季節性が強く、特に1月から3月までの確定申告や決算書作成の時期は繁忙期です。この時期は、クライアントからの依頼が多くなり、残業や休日出勤が増えます。
また、クライアントからの問い合わせやクレームなどから、精神的な負担も大きくなります。
さらに、税理士として働く場合は、会計事務所や税理士法人に所属することが多いですが、その場合は職場の人間関係も重要な要素です。
しかし、以下のような問題がある場合もあります。
- ・ブラック企業的な労働環境である
- ・上司や先輩からのパワハラやセクハラがある
- ・同僚や後輩とのコミュニケーションや協力が不足している
- ・給与や昇進の評価基準が不明確である
勤務先が上記のような職場であると、仕事の楽しさを感じにくくなり「やめとけ」と言われることがあります。
税理士試験に合格するための効率的な勉強法や戦略
「税理士はやめとけ」と言われる理由には、難関試験突破が挙げられますが、勉強方法によっては合格に近づけます。
効率的な勉強方法や戦略をご紹介しますので、参考にしてみましょう。
税理士試験の難易度と合格率を確認する
まずは税理士試験の難易度や合格率を確認しておきましょう。前述したように、税理士試験は非常に難易度が高く、合格率も低いです。
しかし、それだけではなく、科目ごとにも難易度や合格率に差があります。
令和4年度の状況をみると、簿記論の合格率は23%に対し、消費税法の合格率は11.4%でした。
科目ごとの合格率は傾向の変化も考えられますが、直近数年分の傾向を把握することで、選択科目の選び方も変わってくるでしょう。
自分の得意・不得意な科目や志望する分野に応じて、どの科目から受験するか、どの科目にどれだけの時間を割くかを決めることが大切です。
完璧主義や無計画な勉強を避ける
税理士試験に合格するためには、完璧主義や無計画な勉強を避けることも重要です。
完璧主義とは、自分の目標や基準に満たないと感じると、不安や焦りを感じたり、自己評価を下げたりする傾向のことです。
完璧主義は、以下のような問題を引き起こす可能性があります。
- ・勉強に対するモチベーションや自信が低下する
- ・勉強に対するストレスやプレッシャーが増加する
- ・勉強の質や効率が低下する
- ・勉強のバランスやペースが崩れる
完璧主義を避けるためには、以下のような対策を取ることがおすすめです。
- ・自分の目標や基準を現実的かつ具体的に設定する
- ・自分の成果や努力を客観的かつ肯定的に評価する
- ・自分の弱点や失敗を受け入れて改善する
- ・自分のペースや方法で勉強する
また、無計画な勉強とは、目的や目標が明確でないまま、手当たり次第に勉強することです。
無計画な勉強は、さまざまな悪影響が考えられます。無計画な勉強を避けるために試験の内容や制度を把握したり自分のレベルや目標を診断したりしてみてください。
気分に左右されない勉強習慣を身につける
税理士試験に合格するためには、気分に左右されない勉強習慣を身につけることも重要です。
気分に左右されると、以下のような問題に直面しやすいからです。
- ・勉強の頻度や質が不安定になる
- ・勉強の計画や目標が達成できなくなる
- ・勉強への集中力やモチベーションが低下する
- ・勉強への責任感や規律性が失われる
気分に左右されない勉強習慣を身につけるためには、以下のような対策を取ることがおすすめです。
- ・勉強する時間や場所を決めてルーティン化する
- ・勉強する前に目的や目標を明確にする
- ・勉強する際に集中できる環境や音楽を用意する
- ・勉強した内容や成果を記録して可視化する
- ・勉強した後に自分へのご褒美や休息を与える
自分と向き合いながらモチベーションを保つことがポイントとなります。
税理士資格を取得するメリットや魅力
税理士はときとして心身のストレスや多忙さを抱えやすいですが、その分、魅力もあります。
税理士の魅力も知ることで、本当に目指すべきかの検討材料になりますので、確認していきましょう。
専門的な知識を活かせる
税理士資格を取得すると、税金に関する専門的な知識を活かせます。税金は個人や企業の経済活動に欠かせない要素であり、常に変化し続けるものです。
そのため、税理士は常に最新の税制や法令に対応し、クライアントのニーズに応えることができます。
また、税理士は税金だけでなく、会計や法律などの幅広い知識も持っています。
そのため、税理士はクライアントの経営や財務に関する様々な相談や提案も行なえ、クライアントに貢献できればやりがいを感じるものです。
安定した収入がある
税理士資格を取得すると、安定した収入が期待できます。税理士は基本的に顧問契約を結んで定期的な報酬を得られるからです。
安定的な収入を得られれば、景気や業界の動向に左右されにくいです。
また、税理士は需要が高くて供給が少ない職種であり、市場価値が高く、高い報酬水準を維できるでしょう。
さらに自分のスキルや実績に応じて報酬を上げることも可能です。
独立開業ができる
税理士資格を取得すると、独立開業も可能です。
税理士は会計事務所や税理士法人に所属することもできますが、自分で事務所を開くこともできます。その場合、自分の好きな場所や時間で働けます。
また、自分の好きなクライアントや業務を選べたり自分のビジョンや方針に沿って事業を展開したりすることも可能です。
働き方がいろいろある
税理士は幅広い働き方があります。個人や中小企業の顧問として働くことが多いですが、それだけではありません。以下のような働き方もあります。
- ・大企業や公的機関の社員や役員として働く
- ・大学や専門学校の教員や研究者として働く
- ・裁判所や行政機関の専門家や委員として働く
- ・メディアや出版社のコメンテーターや執筆者として働く
いずれも簡単に就職などができないケースもありますが、タイミングやチャンスを逃さなければ、自分が思い描くキャリアプランで働けるでしょう。
税理士資格以外の選択肢も検討する
税理士以外の資格も選択肢として検討することで、自分の活躍できる可能性を広げられます。
ここでは、3つの資格について比較していきます。
税理士とUSCPA(米国公認会計士)を比較
税理士とUSCPA(米国公認会計士)は、それぞれ異なる特性とキャリアパスを持つ資格です。
USCPAは4科目の試験に合格する必要があり、合格率は45-60%です。試験は毎日受けられ、合格までの勉強時間は約1,000-1,500時間とされています。
米国だけでなく、多くの国で認知度が高く、特に外資系企業での採用が多いです。年収も比較的高く、国際的なキャリアが可能です。
一方、税理士の試験は年1回しかなく、合格率は約15%です。合格までの勉強時間は約4,000時間と長いですが、日本での認知度が非常に高く、税務の独占業務があります。
年収は平均的には低めですが、独立開業すると大きな収入が期待できます。
言語面では、USCPAは試験が英語で行われるため、英語力が必要です。税理士は日本国内での業務が主で、英語力は必須ではありません。
総合的に見て、USCPAは短期間で資格を取得し、国際的なキャリアを目指す人に適しています。
税理士は日本国内で安定した専門職として働きたい人に向いています。
税理士と公認会計士を比較
公認会計士と税理士は、ともに会計や税務の専門家ですが、業務内容、クライアント層、働き方には明確な違いがあります。公認会計士は主に財務諸表の監査を行い、その正確性を評価します。
一方、税理士は税務業務に特化し、税金の申告や節税アドバイスを提供します。
公認会計士は大企業や上場企業が主なクライアントであり、多くは大都市圏の監査法人で働いています。
税理士は小規模企業から個人まで幅広いクライアントを持ち、地域社会での独立開業が一般的です。
それぞれの違いから、目指すべき資格を選んでください。
税理士と日商簿記1級を比較
税理士と日商簿記1級は、会計と税務に関する資格ですが、いくつかの重要な違いがあります。
税理士試験の受験資格として日商簿記1級の合格が認められていますが、簿記1級自体に特定の受験資格は必要ありません。
試験内容も異なり、税理士試験には税法に関する科目が含まれています。
キャリアパスにおいても、税理士は高収入と多様な業務が可能ですが、簿記1級は会計士など他の資格へのステップとしても有用です。
また、両試験の出題範囲が重なるため、簿記1級から税理士へのステップアップは効率的です。
ブラックな会計事務所・税理士法人の特徴
できるだけ職場環境が良好な勤務先で働くために、ブラックな職場の特徴を確認し、あらかじめ除外しておくことが大事です。
最後にブラックな会計事務所や税理士法人の特徴を解説します。
残業が多すぎる
ブラックな会計事務所・税理士法人の特徴の一つは、残業が多すぎることです。税理士は季節性が強い仕事であり、確定申告や決算書作成の時期は繁忙期となります。
そのため、残業が増えることは仕方がないことですが、ブラックな会計事務所・税理士法人では、繁忙期以外でも残業が多くなることがあります。
その原因は、以下のようなものが考えられます。
- ・人員不足や人材育成の不備により、仕事の量や質に対応できない
- ・クライアントの要望や期限に無理に応えようとする
- ・上司や先輩からの指示や要求が過剰である
- ・残業代や休日手当が支払われない
残業が多すぎる会計事務所・税理士法人は避け、心身が疲弊しないようにしてください。
仕事の割り振りが偏っている
ブラックな会計事務所・税理士法人は、仕事の割り振りが偏っているけいこうにあります。
税理士は個人や企業の税務相談や代理業務を行いますが、その中でも様々な分野や業種があります。
具体的には下記が挙げられます。
- ・税務調査に対する立会人として、クライアントの権利を守る
- ・税務訴訟に対する代理人として、クライアントの利益を争う
- ・税務教育に関する講師や執筆者として、知識や経験を伝える
- ・税務コンサルティングに関する専門家として、高度な知見や提案を行う
このように、税理士は自分の興味や能力に応じて、さまざまな仕事を選ぶことができます。
しかし、ブラックな会計事務所・税理士法人では、以下のような問題が起こる可能性があります。
- ・自分の得意・不得意な分野や業種に関係なく、仕事を任されたりする
- ・自分の志向・希望な分野や業種に関係なく、仕事を押し付けられたりする
- ・自分の成長・発展な分野や業種に関係なく、仕事を与えられたりする
このように、仕事の割り振りが偏っているとストレスを抱えたり将来性に不安を持ったりします。
クライアントとの関係が良くない
クライアントとの関係が良くない会計事務所や税理士法人は、ブラック企業である可能性が高いです。
税理士はクライアントの信頼や評判を得ることが重要ですが、ブラックな会計事務所・税理士法人では、以下のような問題を抱えやすいです。
- ・クライアントのニーズや要望に対応できない
- ・クライアントの期待や約束に応えられない
- ・クライアントの情報や資料を適切に管理できない
- ・クライアントとのコミュニケーションや報告が不十分である
このように、クライアントとの関係が良くないと、トラブルやクレームが頻繁に起こったり依頼が減って報酬が減ったりする可能性もあります。
したがって、クライアントとの関係が良くない会計事務所・税理士法人は避けるべきです。
職場内の人間関係が悪い
職場内の人間関係が悪いとブラックな事務所である可能性があります。
税理士はチームワークや協力が重要ですが、ブラックな会計事務所・税理士法人では、以下のようなケースが考えられます。
- ・上司や先輩からのパワハラやセクハラがある
- ・同僚や後輩とのコミュニケーションや協力が不足している
- ・職場内での派閥やいじめがある
- ・職場内での評価や報酬が不公平である
職場の人間関係は実際に働かないと分かりにくい部分がありますが、働く前に職場見学に出向いて、確認してみるといいでしょう。
離職率が高く人の流れが早い
離職率が高く人の流れが早いと、ブラックな会計事務所・税理士法人の可能性が高いです。
離職率が高い原因は下記が挙げられます。
- ・従業員に対する待遇や環境が悪く、辞めたいと思う人が多い
- ・従業員に対する教育や育成が不十分で、成長できると感じる人が少ない
- ・従業員に対する評価や報酬が不明確で、やりがいを感じる人が少ない
- ・従業員に対するサポートやフォローが不足で、安心できると感じる人が少ない
離職率が高い職場であれば、自分自身の業務負担が増えるため、避けたいところです。
離職率が高い事務所は、頻繁に求人募集をしている場合があるので、求人情報でよく見かける会計事務所や税理士法人は避けておきましょう。
さまざまな資格を比較して税理士を目指そう
さまざまな理由から「税理士はやめとけ」と言われますが、税理士は魅力ややりがいのある仕事です。
しかし、職場環境などによって、やりがいが大きく変わり、場合によっては心身のストレスを抱えることもあります。
本当に税理士に向いているのか、また良好な職場はあるのかなど、さまざまな視点から総合的に考える必要があります。
場合によっては他の資格と比較しながら、自分に合った選択をすることが大事です。