税理士資格取得への道_板山翔さんのインタビュー
税理士は、法的知識と財務の専門性を兼ね備えており、ビジネスの世界では不可欠な存在です。この道を目指す者にとって、税理士資格の取得は、一生を通じてのキャリアを左右する重要なステップとなります。
しかし、この目標に到達する道は、困難で遠い道のりです。多くの受験生が直面する壁は、厳しい試験内容だけではありません。合格のためには勉強時間の確保、継続的なモチベーションの維持、そして日々の生活とのバランスが求められます。
成功への道のりは一人ひとり異なりますが、共通して言えるのは、計画的なアプローチが必要であることです。効率的な学習方法や時間管理、そして精神的な持続力の養成が、この挑戦を乗り越えるための鍵となります。実際の試験は知識の試練であると同時に、個人の忍耐力と決断力を試す場でもあります。
この記事では、税理士試験の成功に至る道のりを板山翔税理士事務所の板山翔さんのインタビューを通じて探求し、受験生が直面する課題に対する実用的なアドバイスを提供します。勉強計画の立案から、試験の心構えまでぜひ参考にしてください。
板山翔さんのインタビュー
Q1: 資格取得のため、具体的にどのような自己学習を行いましたか?
板山氏: 働きながら受験勉強をしていましたので、平日の通勤時間はひたすら税法暗記に充てて、仕事帰りにカフェによったり、朝早起きしたりして1~2時間机で勉強していました。土日はほとんど自宅で勉強していました。
Q2: 資格取得までにかかった総学習時間は?
板山氏: 約5,000時間かかりました。もちろん計測はしていませんが、平日1.5時間、休日8時間程度勉強できたとして、1日平均3時間、年間1,000時間ほど勉強できていた計算になります。
私の場合6回試験を受けたので、1,000時間×6年だと6,000時間ですが、最後の3年間は仕事が忙しすぎて直前対策講座しか受けていなかったので、2年分に削って計算しました。
Q3: 勉強時間の捻出はどのように行いましたか?
板山氏: 働きながらの受験勉強はとにかく時間が足りないので、机に座れない時間を税法の暗記作業に充てて勉強時間を捻出しました。通勤途中の電車の中だけでなく、徒歩で移動しているときや、仕事の休憩時間なども本を片手に暗記作業をしていました。
それと税理士試験はマラソンレースなので、無理せず勉強を継続することが一番のコツですね。仕事が夜遅くなったときは、無理せず30分~1時間ぐらいで勉強を切り上げて、できるだけ自分に負担をかけずに、毎日継続できるように気を付けていました。
Q4: 何を参考に学習計画を立てましたか?
板山氏: 大学受験の時に読んでいた勉強法の書籍を参考に計画を立てていました。
Q5 : 具体的に、どのような学習計画を立てましたか?
板山氏: 会計2科目は独学で勉強していたので、ひたすら過去問や模試を自宅で解いていました。税法3科目は大原の通信講座を受けていたので、できるだけ講座のスケジュールに従って勉強していました。(働きながらなのでなかなかついていけませんでしたが)
Q6 : 小さな目標として、どんな目標を立てていましたか?
板山氏:模試で少しでも良い点を取ることを目標にしていました。働きながらなので模試の点数は毎回低かったですが、低いなりにどうやったら良い点が取れるか工夫するようにしていました。
Q7: 法人税法と所得税法の科目選択はどちらを選択しましたか?また、それを選んだ理由をお聞かせください。
板山氏: 法人税法を選択しました。所得税法の方が実務で身につけやすいので、難しい法人税法を座学で身につけておきたいと思ったからです。
Q8: 使っていて良かった参考書があればご記入ください。
板山氏: 簿記を独学で勉強していたとき、ネットスクールのテキストを使っていました。独学用に作られていたので使いやすかったです。私は簿記試験用のものしか使ったことはありませんが今はネットスクールから税理士試験用のテキストも出ているようです。
Q9: 学習のモチベーションはどのように維持していましたか?
板山氏:働きながらだとモチベーションを上げるのは難しいので、短時間でもとにかく毎日勉強を継続することで達成感を感じるようにしていました。また、勉強できない日があってもいちいち落ち込まないようにしていました。
Q10: 最後に資格取得を目指す方へメッセージをお願いいたします。
板山氏: 働きながらだと模試では専門学校生に手も足も出ませんが、難しい問題を捨てて簡単な問題だけを効率良く解いていく練習をしたり、計算スピードの差が出ない税法の文章問題の回答に時間を長めに割いたりすることで、本番逆転できたことが何回もありました。勉強時間が足りないからといって諦めず、できないなりに最善を尽くせば、仮に落ちても翌年合格できる確率は上がりますし、ダメ元でもとにかく最後まで受験してほしいと思います。
落ちたらかっこ悪いからと言って受験自体を回避してしまう人もたくさんいましたが、そういう人は誰も合格までたどり着けませんでした。
最後まで諦めない気持ちが大切
税理士資格への道は、単なる学術的な挑戦を超えて、個人の精神的な成長を促す旅です。板山翔さんの経験は、この旅路における重要な教訓を私たちに教えてくれました。それは、成功への道は決して一直線ではなく、持続的な努力と自己調整が必要であることです。彼の物語は、多くの壁に直面しながらも勉強の機会を見出し、継続的な努力を重ねることの重要性を浮き彫りにしています。
板山さんのように、税理士試験の準備は時間の管理と精神的な強さを要求されます。彼の戦略、特に通勤時間を利用した学習や、短い時間でも勉強を毎日継続すること、そして何よりも自分自身に負担をかけすぎないようにすることは、受験生にとって大いに参考になるはずです。
税理士資格取得の道は厳しいものですが、板山さんの経験が示すように可能な限りの最善を尽くし、一歩一歩前進することで、最終的な目標に到達することができます。彼のメッセージである「勉強時間が足りないからといって諦めず、できないなりに最善を尽くせば、仮に落ちても翌年合格できる確率は上がります。」という言葉は、すべての受験生にとって励みとなるでしょう。税理士として成功するための道は勉強の量だけでなく、その質と持続性にも依存します。
この記事を通じて、私たちは板山さんの経験から学んだ教訓を皆さんと共有し、皆さんの税理士資格取得への旅が少しでも容易なものになることを願っています。最後に、板山さんが述べたように、「ダメ元でもとにかく最後まで受験してほしい」という勇気を持ち続けることが、この難関を乗り越えるための鍵となるでしょう。
有資格者様:プロフィール
板山 翔(いたやま しょう)
税理士/板山翔税理士事務所
平成28年に日本初のオンライン専門の税理士事務所を開業。 塾講師歴7年、大手WEBメディアで連載を持つなどの異色の経歴から、単なる「税理士」ではなく「小さな会社の経営の先生」として、5人以下の小さな会社の経営者へ向けて、経営に必要な情報を発信している。