菅野正太さんに聞いた!弁護士の資格取得までの道のりと勉強法

弁護士は、数ある資格の中でも合格が難しいとされています。「法律系資格の最高峰」とも言われており、受験を控えている方の中には勉強法に悩む方も多いでしょう。

そこで今回は、弁護士法人 永 総合法律事務所にて弁護士をされている菅野正太さんに資格取得に関するお話を伺いました。実際に費やした勉強時間やモチベーションを維持する方法、勉強場所などもお聞きしています。

これから、弁護士を目指そうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

資格取得に向けた勉強について

資格取得に向けた勉強について

それでは早速、菅野正太さん(以下:菅野さん)にお聞きした内容を紹介します。まずは、資格取得に向けた勉強について詳しくお伺いしました。

Q1:資格取得のために使った勉強時間はどれくらいですか?

菅野さん:弁護士になろうと決意したのは、大学入学前後くらいからになるので、大まかにいうと大学の4年間+ロースクールの2年間で6年を費やした形になります。
本格的に司法試験対策をするようになったのは、ロースクールの入学後からになりますが、平日は授業終了後から午後8時頃まで勉強し、夕食をとってから翌日の午前2時くらいまで勉強していたと思います。休日であれば、午前は自由時間で、午後2時頃から午後8時頃まで勉強し、その後夕食をとってから翌日午前2時ころまで勉強していました。勉強の場所は自宅か近所のカフェがほとんどです。
勉強時間の平均としては、平日なら8時間程度、休日なら10時間程度を目標にがんばっていたと思います。

勉強時間については平日8時間、休日10時間が目安とのことでした。意外にも休日の午前中は自由時間とし、リラックスできる時間を作っていたとのことです。

Q2:資格を取得しようと思ったきっかけは何ですか?

菅野さん:高校3年生の進路選択の際には、高校で英語の先生をするか、弁護士になるか悩んでいた時期があります。ちょうどその時期に、図書館で法律に関する本を読み、刑事冤罪事件などの詳細を知り、自分も理不尽に困っている人を助けたいという思いがわいてきたのが最初のきっかけです。そうして弁護士の仕事を調べていくうちに、自分の裁量と知識で専門的な仕事ができることや、依頼人の人生などに深くかかわれることを魅力に感じ、司法試験の受験を決めました。

英語の先生と弁護士で悩み、「理不尽に困っている人を助けたい」との思いで弁護士を選んだ菅野さん。2022年には刑事事件において無罪判決を獲得するなど、弁護士になった今も当時の気持ちは忘れていないようです。

Q3:勉強する際に工夫したことは何ですか?

菅野さん:ずっと家で勉強しているとどうしても気分が落ち込んでしまうので、出来るだけ外に出るようにしていました。勉強場所もカフェやファミレスを利用していたことが多いです(長時間利用でご迷惑をおかけしたかもしれませんが…)。

菅野さんのように、自宅以外の場所で学習している方は少なくないはずです。いつもと違う場所に行くことで、モチベーションが上がることも多々あります。

Q4:資格を取得する際、どのようにしてモチベーションを維持しましたか?

菅野さん:司法試験に受かった後の自分が想像できるといいなと思っていたので、よく法律事務所の採用サイトなどを見ていました。将来の仕事のイメージや受かった後の待遇などをチェックしていました。

モチベーションの維持方法については、自宅以外で勉強するほか、資格試験に合格した後の自分を想像したとお話ししていました。これは、弁護士以外の資格においても同じことが言えるでしょう。

Q5:実際に行なっていた勉強法を教えてください。

菅野さん:司法試験の受験科目はたくさんあるのですが、1日毎にやる科目を決めて、1週間でローテーションする形で勉強していました。例えば月曜日は民事(民法、会社法、民事訴訟法)、火曜日は刑事(刑法、刑事訴訟法)、水曜日は公法+選択科目(憲法、行政法、労働法)の流れを繰り返すという感じです。
また、各科目ごとに演習書を1冊持っていたので、1回の勉強ごとに10ページ進めて10日で1週するなど、科目ごとのノルマについても細分化していました。
こうしておくと、何をやるべきか悩む必要もないので、淡々と1日毎の勉強メニューをこなせると思います。

ローテーションを組んで勉強することで、「何を勉強しよう」と悩む必要がなくなったと話す菅野さん。確かに、どこを勉強するか悩む時間はもったいないかもしれませんね。菅野さんのように自分の中の決まり事を作れば、勉強がスムーズに進むでしょう。

資格取得後について

資格取得後について

次に、資格を取得した後のことについてお伺いました。

Q6:弁護士として活躍するにあたっての心得を教えてください。

菅野さん:弁護士の仕事をするためには、司法試験に合格しなければいけないので、「勉強ができること」を念頭に置く人がいますがこれは違うと思います。
弁護士として仕事をするためには、依頼人に選んでもらわなければ私たちは仕事ができません。そのため、弁護士として活躍したいのであれば、弁護士業は接客業であるという意識が必要であり、人とのコミュニケーションをとるための能力こそが大切なのだと思っていてほしいです。

弁護士は法律を盾にして戦う前に、依頼者から話を聞き出さなければなりません。そのため、特にコミュニケーション能力を身につけた方が良いとのことでした。

Q7:資格取得後に最も良かったと感じたことは何ですか?

菅野さん:弁護士資格の活かし方は、一見すると法律事務所勤務だけのように思われがちですが、最近であれば一般企業の法務部などで活躍している人もいますし、私の同期には、官公庁で公務員として勤務している人もいます。弁護士資格は法的な能力の何よりの証明です。弁護士資格に限った話ではないと思いますが、キャリア選択の幅が大きく広がり、色々な分野に挑戦する機会をもらえるというメリットはとても大きいと思います。

資格を取得することで、さまざまなことに挑戦できる機会がもらえること、キャリア選択の幅が広がることが最も大きなメリットだと教えていただきました。

Q8:弁護士の資格を活かすために必要なことは何だと思いますか?

菅野さん:私も含め、社会人経験がないまま弁護士になると業界の知識がなくて苦労することがあります。企業法務を経験すれば、建築、アパレル、小売り、飲食業など様々な業界の経営者の方などともお会いして仕事をさせていただくのですが、業界の常識など、その分野の方からすれば初歩的なものから教えていただくことも多いです。弁護士は法律で社会の問題を解決する仕事なので、法律だけ知っていてもどうしようもありません。興味の幅を広く持ち、他業種の知識も貪欲に吸収することが大切だと思います。

弁護士と言えば法律関係の知識が最も必要なイメージがありますが、実際には幅広い知識がいるとお話ししていました。特に企業法務であれば、相談者側の立場によって各業界の知識が必要となるでしょう。

Q9:資格を取得したことで生活に変化はありましたか?

菅野さん:弁護士の仕事は司法試験に合格しなければ始まりません。周りが社会人としていち早く仕事を始めている中、受験勉強だけしているのは肩身が狭いこともありました。それと比べれば、合格後の世界は本当に明るく見えます。社会人の一員になって働けるという実感が得られるのが一番大きい変化だったと思います。

弁護士の資格取得を目指したことで、周囲との差を感じていたものの、結果的には満足のいく仕事に就けたとお話ししてくださいました。

Q10:資格取得後に叶った夢や達成した目標はありますか?

菅野さん:弁護士になることが一番の目標だったので、司法試験合格後に何を目標にしていくのかは今でも模索中であるというのが正直なところです。知識を広げるために他の資格も取ってみたり、好きだった英語の勉強を再開したりと色々やっています。仕事の面でいうと弁護士は今は独立が当たり前の世界というわけでもないので、キャリアアップの仕方も考えないといけないなと思っていますが、当面は今お世話になっている事務所のパートナーになれるよう実力を付けようと頑張っているので、あえて目標にするならそこになるかなと思います。

現在は、弁護士事務所に所属している菅野さん。これからも、いろいろな目標を立てながら努力を続けていきたいと話していました。

Q11:あなたの人生を一言で表すとしたら、どんな言葉になりますか?

菅野さん:ありがたいことに希望の職業にも就くことができ、私生活でも周りの人たちに恵まれているので、ここは大きく出て「順風満帆」といわせてもらえればと思います。

弁護士の資格を取得したことで夢を叶え、さまざまな相談を受けている菅野さんの人生は「順風満帆」とのことです。資格取得の際には大変なことも多々あったと思いますが、その結果として菅野さんのように成功されている方の姿を見ると、勉強のやる気もアップしますね。

成功した姿を思い浮かべてモチベーションUP!

成功した姿を思い浮かべてモチベーションUP!

今回は、弁護士法人 永 総合法律事務所の所属弁護士「菅野正太さん」にたくさんのお話を伺いました。弁護士資格を取得するためには長い勉強時間を要しますが、継続して勉強するためにはモチベーションの維持が欠かせません。

菅野さんのお話にあったように、成功した姿を思い浮かべてみたり、自宅以外の場所で勉強したりと、自分なりのモチベーション維持法を見つけてみましょう。勉強は、継続することが何よりも大事です。ぜひ本記事を参考に、弁護士の資格取得を目指してみてください。

有資格者様:プロフィール

弁護士法人 永 総合法律事務所 所属弁護士
菅野 正太(かんの しょうた)

【経歴】
上智大学法学部法律学科 卒業
早稲田大学大学院法務研究科 卒業。中小企業法務、不動産取引法務、寺社法務を専門とする弁護士法人永総合法律事務所の勤務弁護士。
第二東京弁護士会仲裁センター委員、同子どもの権利委員会委員
同綱紀委員会 委員 同 倫理委員会 委員

【保有資格】
英検準1級 TOEIC905点
宅地建物取引士試験合格者
管理業務主任者試験合格者
マンション管理士試験合格者

【公式HP】
弁護士法人 永 総合法律事務所
https://ei-law.jp/