一村岳史さんから学ぶ「宅地建物取引士」の資格取得までの道のり
宅地建物取引士は、「宅建」「宅建士」などとも呼ばれ、不動産業界でのキャリアを築く上では欠かせない重要な資格です。不動産業界を目指す方や、仕事に取り組む方にとっては、取得しておきたい資格の一つと言えます。
宅地建物取引士は、宅地建物取引業法に基づき定められた国家資格で、不動産の売買や貸借の取引に対し、公正かつ誠実な手続きを行う不動産取引の専門家です。故に、試験合格までの道のりは長く、勉強法やモチベーションの維持に苦労する方も少なくありません。
そこで今回は、宅地建物取引士の資格を持つ「一村岳史さん」に、資格取得に関する勉強法や学習計画についてお聞きしました。これから、資格の取得を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。
一村岳史さんに聞く宅建資格取得の心得
それでは、ここからは一村さんに伺ったお話を元にしながら、宅建資格を取得するまでの道のりや心得を見ていきましょう。
Q1:資格取得のために使った勉強時間はどれくらいですか?
一村さん:仕事をしながらの資格勉強であったため短期集中としました。
10月中旬の試験日に向けて、8月頭から本格的に勉強を開始。8月は主に参考書を読むことに費やしました。1回目はあまり細部には拘らず全体像を把握する目的で読み、2回目は理解を深めることに努めました。これは主に通勤の電車内で行いました。(往復約1時間)
9月は問題集を2回転、参考書と行き来しながら行いました。通勤の電車はもちろんですが、それ以外にも仕事前や仕事終わりにカフェ等でやっていました。
10月は過去問にのみ取り組みました。仕事前や仕事終わりのカフェが主な勉強場所です。通勤の電車内では過去問等はやりづらいので、参考書にて弱点領域の理解に充てました。10月は毎日、8~9月も勉強を全くしない日は週に1日程度だったと思います。
Q2:資格を取得しようと思ったきっかけは何ですか?
特にきっかけはありません。
すでに不動産会社に従事しておりましたので資格取得は当然のことと考えておりました。
Q3:勉強する際に工夫したことは何ですか?
勉強期間の設定と勉強する時間帯と場所を決めたことです。生活サイクルの中にその時間を確保する。そしてそれを一定期間習慣にすることが何より重要だと考えました。
ただ、私は自分の意志の強さに自信がないため、意図的に短期集中を選びました。半年や1年もの期間を設定すると意志が継続する自信がなかったためです。長期計画で着実に勉強する方が向いている人もいるかとは思いますが、私は短期集中が自分に合っていると思っていましたしその通りだったと思います。
Q4:どのような学習計画を立てて勉強を進めましたか?
私は全体像を把握してからが勉強の本当のスタートだと思っています。
そのため、手始めに過去問とその回答を1年分だけ一通り見ました。特に解いてはいません。その上でまずは1週間程で参考書を一度浅く読み、テーマごとに理解に要する時間をイメージしました。これにより全体像の把握に加え、参考書に出てくる内容がどのように問題になるかを想像しやすくなります。
Q5:資格取得後に最も良かったと感じたことは何ですか?
私は不動産業界で働き始めてから資格を取得したため、勤務先から資格手当が受給できること以外にメリットを感じたことはありません。
当然ながら重要事項説明書の説明ができること、記名押印ができることそのものも良いことだとは思います。(資格保有者でなければ上司や同僚の助けを借りなければなりません)
ただ、不動産業界で生きていく人間にとって宅建資格はメリットを感じるものではなく最低限の備えであると考えております。
Q6:宅地建物取引士の資格を活かすために必要なことは何だと思いますか?
これから不動産業界で働こうと考えている方であれば、就職にあたり優位になると思いますし、働き始めてからも資格試験において学んだことは活かされるでしょう。
すでに不動産業界で働いている方にとっては、業務において間違いなく活かされる知識であり武器となるでしょう。武器を有効に活用するためには、資格取得そのものを目的とせず、そこで得た知識や試験を突破した自信をもとに社会人として更なる成長を目指すことが重要だと思います。
Q7:資格を取得したことで生活に変化はありましたか?
社会人になってすぐの頃だったこと、初めての資格試験であったことからも、やはり少し自信が付いた記憶があります。資格試験に関わらず、目指す目的を達成するために計画を立てその計画を実行できた実績というのは自分を成長させてくれるものだと思います。
社会人として仕事をしていると、資格試験以上の困難はたくさんあると思いますが、そういった様々なハードルを越える初めての経験であったと思っています。
また当時年齢的にもまだ若かったため、資格を得たことにより顧客や取引先からも少しは信頼されやすくなったと感じています。
Q8:資格取得後に叶った夢や達成した目標はありますか?
大層なものはありませんが、社会人として早く成長したいと願っていた私にとって宅建取得は最初のハードルであったため、資格取得は自信を得て成長に対して背中を押されたような印象があります。
Q9:あなたの人生を一言で表すとしたら、どんな言葉になりますか?
「思索の人として行動し、行動の人として思索せよ」をモットーとして心がけています。
Q10:資格取得を目指す方へエールを送るとしたら、どのような言葉をかけますか?
一村さん:「運よく合格すれば良いな」では合格できません。しかし、意外とそのような取り組み方をしている人が多いのが現状です。
合格者の多くは十分な合格水準まで到達していて何の不安もなく試験本番に臨んでいると思います。甘えや楽をしたい気持ちを捨てて、そう思えるところまでやりましょう!その経験が資格合格以上の自信を与えてくれることと思います。
揺るぎない自信と知識をつけることが大切
一村さんのお話を聞く限りでは、「運よく合格すれば良い」という気持ちでは合格できません。しっかりと勉強をし、合格基準に達していると自信を持って言えるところまで来れば、資格取得は目の前です。
そのためには、学習計画や安定した学習時間の確保が必要となるでしょう。一村さんのように通勤時間を使って学習したり、1日のサイクルの中に「勉強」を取り入れたりしながら、上手く学習時間を確保することが大切です。勉強期間の設定や勉強する時間帯、場所をあらかじめ決めておくことで、モチベーションの維持につながります。
どこから手をつけて良いか分からない場合には、一村さんの学習計画を参考にしながら、全体像を把握することから始めると良いでしょう。参考書や問題集を読み、資格の概要をしっかりと把握してから学習を進めると、内容が頭に入りやすくなります。
これから、宅建の資格取得を目指している方は、ぜひ本記事の内容を参考にしながら学習を進めてみてはいかがでしょうか。
有資格者様:プロフィール
文京住販株式会社 代表取締役 一村 岳史
出身地:大阪府
同志社大学 工学部卒業
大学卒業後、建売住宅を分譲する会社に入社。
販売窓口の部署に配属され、多い時で年間100件を超える契約に携わり様々なシチュエーションを経験。
転職した会社で仕入営業に従事、その後2010年に文京住版株式会社に入社。
2015年に代表取締役に就任。